コールセンター教育・研修の投資効果の最大化とは

今回のコラムはコールセンターや、電話応対現場で教育・研修が行われる際に、その投資効果を最大化して、実践的にパフォーマンスをアップさせるにはどうすればいいのか。
効果の計測方法、研修の準備段階での方針設定、実際の教育・研修の手順などを解説いたします。

1.コールセンターの教育・研修効果って、どうやって測る?

市場通信では、コールセンターや電話応対に関する研修を、年間を通じて数多く実施しています。そのほとんどは公開型ではなく、それぞれのクライアント様に出向いて実施しています。

こうした形式であるために、そのクライアント様が抱えている課題に即して研修のゴールを設定し、学習内容をカスタマイズしています。

その際、常に念頭においているのが「研修の投資効果を最大化すること」です。

研修は多くの人的パワーやコストがかかるため、投資効果を測定し、今後に活かしていくことはとても重要なことです。

研修後に受講生アンケートを取ることも多いのですが、それはあくまで研修を受けた直後の本人の気づきや満足度を測るものであって、研修への投資に対する効果を測るものではありません。

講師に気を遣って結果がよい方向に偏る傾向もあり、あくまでもその時点での、しかも参加者の主観的な情報としてみるべきでしょう。

研修効果の必要性や測定方法については昔から語られていることですが、実際に効果測定をすることは容易ではありません。

コールセンターの研修でいえば、モニタリングの結果を確認する、一定期間後に学習の成果を確認するしくみを作る、上司や本人からの評価をするなどがあります。

コールセンター以外ではモニタリングのしくみがない場合がほとんどですが、研修前後の実際の通話を録音しBefore & Afterの変化を確認するという方法もあります。

これらは、一見すると、簡単にできそうな感じもしますが、例えば、既存のモニタリング項目は研修効果が図れる指標になっていない、膨大な録音データの中から効果測定を検証できる音声を抽出するのは大変すぎる、などの実施が難しいことは少なくありません。

このように、研修効果を定量的に測ろうとすると一気に難しくなりますが、定性的な観点からであれば、変化を確認することは可能です。

受講生がやる気を出して業務に向き合うようになった、お客さまとの会話がスムーズになった、契約が取れた、お客さまからのお褒めの言葉がいただけた、など日常のなかで小さな変化が生まれてくるものです。

さらに、何よりも、学習内容を現場でアウトプットできる、ということこそが研修効果を得られたということにほかなりません。

定量的に成果を測ることが難しいのであれば、こうした定性的な効果をイメージして、研修を作り上げていくことが大切になります。

2.コールセンター教育・研修を準備する

研修を企画する際、いきなりカリキュラムを書いてはいませんか?

もし、現在そうしているのであれば、それでは狙った効果を達成するには至らないこともあるかもしれません。

細かいカリキュラムを組む前に研修の方針を整理する必要があります。

研修の方針といっても決して難しいものではありません。

5W2Hの要素で検討を進めるとわかりやすいでしょう。

・Who(受講生は/研修講師は/研修後のフォロー役は誰か)
・When(研修を行う時期は/受講生のキャリア上のタイミングは)
・Where(どこで、どんな座席形式でやるのか)
・What(具体的に何を教えるのか)
・Why(今回の研修を行う背景やゴール)
・How(どのように教えるか)
・How Long(どれくらいの時間をかけて教えるのか)
※本来の5W2HのHはHow much(いくらかけて)

この5W2Hの中にはさらに細かい検討要素があるのですが、大まかに整理をすればこのような感じです。これらの項目をひとつずつじっくりと検討していきましょう。

3.研修設計には「Who」が大切

研修を設計する際、最も重要なのは「Who」です。

コールセンターや組織の規模が小さく全員が研修を受けることができる場合はよいのですが、そうではない場合は、だれが研修を受けるのかを決める必要があります。

その際、避けたいのが、最もレベルの低い層を集めた研修です。

この層にはしばしばベテラン方が含まれることがあります。その場合に自分の弱点に気づかない、もしくは自分のやり方が手放せないタイプが多く、現場でSVが手を焼いている人たちです。

研修でなんとか気づいてほしいとの思いから、対象者に入っているケースもあります。

しかしながら、学びを得ようと気持ちをオープンにしてくれることは稀で、他の受講生にも影響がでるほど、マイナスの気持ちを表現されることもあります。

さらに、せっかくの研修の機会が微妙な空気になってしまうことさえあります。

では、対象者としては誰がよいのでしょうか。それは、現在の品質レベルや実績にかかわらず、『伸びしろが大きそうな人』、研修などの学びを楽しめ、ポジティブに捉えられる人がよいでしょう。

ポイントは、研修後、自分の業務に戻ったときに学んだことを実践してくれそうな層です。特に、コールセンターの場合、周りに同じ研修を受けた人がいなくても学んだことを実践してみることができる人が望ましいでしょう。

もうひとつ「Who」で検討すべき対象は、研修後のフォロー役です。

研修後、いつもの業務に戻ったときに、誰も見守っていない状態だと、学んだことを実践しなくてもいいのかと判断し、いつもどおりの応対をしてしまいます。

そうなると、「わかっているけど、やってない」という状態になります。それでは研修の意味がありません。フォロー役は、研修直後から声をかけ、学びの姿勢や取り組みを見守り、サポートしていく必要があります。

以前、研修効果の測定をした事例では、同じ研修を2グループに分けて実施した時には、ひとつのグループにはフォロー役を配置し、2週間ほどの見守り活動を行い、もう片方のグループは何も手当をしませんでした。

すると、研修効果の差は歴然としていて、それは想像以上でした。フォローの有無は、それほど重要なのです。

「Who」ひとつをみても、様々な角度からの検討が必要になりますが、残りの部分についても同様に熟考を重ねていきます。

4.研修も「段取り八割・現場二割」と言われるわけ

これらの方針が定まった後に、具体的なカリキュラム作成に入ります。

ここでも、研修効果の最大化イコール現場であり、学習がアウトプットできるかどうかをイメージしながら、何にどれくらいの時間を割くのか、学習内容を取捨選択しながら、具体的な手法やタイムスケジュールを決定していきます。

よく「段取り八割・現場二割」と言いますが、研修も同様で、この準備期間が段取り八割の部分にあたります。

よい準備ができていれば、研修は目的に沿った内容になり、イメージと違ったということにはならないでしょう。

また、検討するにあたって、研修の企画担当者、現場担当者が一同に会して議論を交わす、その時間自体も大変有意義で、組織全体で共通認識を持てている状態で進めることができるのです。

コールセンターは100%研修が存在する組織です。教育・研修に関する投資効果を高めるために、ぜひ一度、5W2Hの視点で研修の設計を見直してみるのはいかがでしょうか。

現在の研修を少し整理しただけで、様変わりする可能性もあると思います。

参考になりましたか。


コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

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