現場レベルに合ったモニタリングシート活用を!

通常、モニタリングシートには、目指すべき「理想のコール」を実現するためのスキルを盛り込んだり、現在抱えている課題を反映させたりします。しかし、理想や課題意識だけが先走り過ぎ、現状とあまりにも乖離したシートをリリースした場合、コミュニケーターの理解が得られず、管理者側の意気込みだけが空回りすることがよくあります。

先日、ある通販会社の100人以上を抱える大型センターでコンサルティングを実施した際にも、同様のことがありました。このコールセンターでは以前「売り上げ」を追及する風潮が強かったため、セールス色の強い対応が主流だったのです。

コールではお客さまにやや一方的ではありつつも、熱心に商品の魅力を語るシーンが多いものでした。そのため、管理者側では、お客さまから厳しいご意見をいただくケースも多々あって、感謝の気持ちに寄り添う対応を目指すスタイルへと方向転換を試みていました。

そこで、そうしたコールを実現できるようなモニタリングシートを作成するということになりました。

ところが、「笑顔」や「抑揚」、「傾聴」「共感」など重要なスキルをすべて反映したモニタリングシートを作成し、テストモニタリングを実施したところ、得点率が平均で20%~30%台という結果が出てしまいました。

しかも、これまでセンターのトップだった層でも50%を割り込むコールが続出してしまったのです。それまでは「話す」ことに重きをおいていたものが、一転して「聴く」のスキルが重視されたためです。

これは、管理者側が目指す方向を180度転換したためで、当然の結果と言えます。その上コミュニケーターからすれば、これまで是としていたものが突然低い評価になるのですから、とても受け入れがたく、センター全体にも悪い影響を与えていました。

そこで、新たな理想を実現するために必要な要素をすべて含んだモニタリングシートを、「管理者用」と位置づけ、フィードバックを前提とした「教育用」のシートでは一部項目(の評価)のみ公開することにしました。

なぜなら、最終的には大学生レベルまで到達して欲しいとしても、現状の能力が中学生レベルだとすると、大学生レベルのチェックシートを適用するのは無理な話です。

したがって、現状のレベルに合わせたシートを用意し、スキルアップに合わせてシート自体を段階的にグレードアップする方法を取りました。この間、管理者側は最終的なゴールに照らして、何が足りないかを把握することができるので、必要な研修などをチョイスするなど、より的確なプランニングが可能となりました。

とくに、モニタリングシートは運用を始めるとコールの質を左右します。もちろん、課題や目的を反映させた内容でなければ品質も向上しませんが、明確なレベル差がある場合は、こうしたレベル別の運用を検討することも一つの方法と言えます。是非、お試しください。

お役に立ちましたでしょうか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

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