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コンサルタント10か条:解説版その2

mail.jpg前号では10か条の1~5までをお送りしました。今回は引き続き6~10までをお送りします。

6.コンサルタントはクライアント企業とその顧客の両方の立場や考え方を理解することが必要である
7.コンサルタントの必要能力の5要素は『書く力、話す力、理解力、分析力 、発想力』である
8.コンサルタントの最終目標はクライアント企業の実績に反映させることである
9.コンサルタントは業務を実績に反映できないと判断した時は、事前に断らなくてはならない
10.コンサルタントの業務を進めることは容易だが、適正な報酬を得ることは難しい職業である

6.コンサルタントはクライアント企業とその顧客の両方の立場や考え方を理解することが必要である

コンサルタントは、コンサルティングする企業の立場や考え方を理解しなければならない。最も難しいのはその企業の製品やサービスをコンサルタント自身が購入したことがない、または体験したことがない商品やサービスであり、すぐに購入できるものであれば体験は可能ですが、高額な商品となると試しにというわけにはいかないのです。

とくにそうした高額商品を購入するターゲット層がコンサルタントの所得層と異なる場合は、購入する
顧客側の心理が把握しづらいことがあります。その疑似体験をするにはコンサルタント自身のネットワークがかなり問題となります。そうした購買をする人達との交流が意外に役立ちます。そうした疑似体験がコンサルタントには必要なのです。

また、男性であれば化粧品や女性用アパレルあるいは宝飾品等、女性であれば一般的に自動車やアウトドア系商品など、同性でないと理解できない商品やサービスを扱うクライアント企業のコンサルティングはかなり困難を伴います。実体験に勝るものはないからです。

ここでのポイントはコンサルタント自身の生活レベルや所得レベルだけで価値判断したり、顧客心理を自分の生活尺度で把握したりしてはいけないということです。その企業のターゲットとなる顧客の志向やアクションを見極めてこそ、その企業の顧客像やカスタマーインサイトが予測できるのです。普段からこの商品を購入する人はどのような生活か、あるいはどのようなものを他に購入しているのかなど、日頃から予測するトレーニングも必要であろうと思われます。

7.コンサルタントの必要能力の5要素は『書く力、話す力、理解力、分析力、 発想力』である

書くことが得意な人は=話すことが苦手な人が多く、その逆も同様です。しかしながら、コンサルタントを目指すのであれば、両方を克服する必要があります。企業の担当者と話している時に自分が話しながら口をついて発した言葉や表現で、『今、中々良い表現だったなー』と頭の中で自問自答したことはないでしょうか。きっとあるはずです。自問自答は時には自画自賛につながり、自分で自分を乗せてしまうわけです。

きっと誰にでもあることでしょう。書いたことは自ずと口語で発することで、また別な表現が生まれてくるものなのです。そうした表現や言葉をまた文章として文語体にしていく作業とその繰り返しが実は大いなるトレーニングとなります。つまり、書くことと話すことは実は交互に繰り返すことで自分自身が進化していくのです。

コンサルタントは企業の担当者からの話を即座に理解しなければならないのです。しかしながら、時々企業の担当者が誤解するのは、何でもすぐわかってくれて何でもソリューションの答えが出てくるものと思っていることがあります。別にスーパーマンでもないのですから、知らないことや説明されないことを理解できるはずがないのです。

コンサルタントとして最も困難を極めるのが、必要なデータや情報をオープンにしてくれない企業や担当者の場合でしょう。理解力どころか、分析やソリューションをする上での発想にも大きく関わってきます。コンサルタントは現状や現況を把握するには、担当者の説明と各種の資料やデータしかないのです。依頼者がより良い結果を求めるのであれば、短期間に必要な情報やデータを出来るだけオープンにアウトプットし、コンサルタントの頭にインプットさせる方が賢明でしょう。

コンサルタントはそうした多くのデータや情報を選別し、答えを見つけ出すための収斂(しゅうれん)する力を持っています。それによって、課題抽出のポイントをつかみ、全体の悪循環の構造を理解するのです。それが理解力であり、分析力です。もちろん、各種データの分析も必要です、定性的な分析力も身につけておきましょう。業務構造の悪循環の80%は人と組織の問題であるからです。熟練すれば、あるいは場数(ばかず)を踏めばクライアントの会社に一歩踏み入れた途端にどんな感じの組織なのかが、わかるようになるものなのです。

発想力。これが一番のポイントです。企画書を見るとプロセスはしっかりしているのに、最後の実践可能なアイディアが非常に薄いという提案書があります。とくにパターンとしてプロセスを書いていると、最後の実施プランでは非常に軽薄なものとなってしまいます。

また、最後の答えから、つじつま合わせでプロセスが書いてあるものについても、提案書の迫力に欠けてしまうものです。ソリューションという答えの導き方は1つではありませんが、その基本的な考え方とプロセスの中でプランニングやソリューションに結びつけることをしないと、本来の実施可能な斬新なアイディアには結びつかないのです。

途中何もないのに『ブレスト』(ブレーン・ストーミング)と称して一気に大勢の人を集めても、単なる断片的な『アイディア出し』しかならないのです。今まで、ブレストってそんなに効果がありましたか?最も効果が高いブレストはある程度プランニングやストーリーを組み立てて、それぞれのアイディアが出やすい環境をつくってあげることが必要であり、多くの人を集めれば何とかなるだろうと、単にブレストをやっても時間の無駄なのです。

8.コンサルタントの最終目標はクライアント企業の実績に反映させることで ある

プロセスや報告書が立派でもコンサルティング内容が何らかの実績に反映させなくては、クライアント企業は満足してくれません。しかしながら、すぐに結びつかないプロジェクトや実績が表面的に出にくいコンサルティング業務も当然あります。

そのスパンは長い時は3年後とか、後になって、その効果がわかることもあります。その時点でのクライアントの評価はあまり良くなくても、時間が経過して理解されるものについてはコンサルタントの実績にはならないことも少なくないのです。また、その反対もあり得ます。

こんな時はコンサルタントして、言いようの無い一抹の寂しさを感じますが、きっと他の世界でも同様であろうと思われます。このような業務を毎回行っていると、信頼が薄れてくることもしばしばあります。それでは、どうしたらいいのでしょうか。プロジェクト進める上で、すぐに評価が出るプログラムも走らせないといけないのです。

これについては、クライアント企業の担当者においても同じ立場であることを考慮しなければなりません。よく勘違いするのは、コンサルタント自身が『やっていることに対し、担当者はわかってくれないのです!』と嘆くことがありますが、わかるように進めないといけないし、その際クライアント担当者のこと
を第一に考えなければならないのです。

目に見えてわからないものに対して、クライアント企業は評価ができず、そこには何の対価も支払われないのです。このような時、昔読んだ名作であるE.Mロジャースの『イノベーション普及学』を思い出します。ネズミの駆除をする薬を開発し販売した話。非常に良く効く薬で実験段階ではかなりの殺鼠剤(さっチュウざいとは読まないが)でした。

『これは売れる!』ということで販売したが、その結果はあまり売れなかったという話だったと思います(あまりにも昔に読んだので)。それは農産物を荒らす野ネズミを退治するために作られた薬剤で、実際に使ってみると土中ではたくさんの野ネズミは死んだらしいが、掘り起こさないとその効果はわからず、目に見える効果をユーザーにアピールできなかったらしいのである。つまり目に見える効果がないと、あまり高い評価がされないということなのです。

9.コンサルタントは業務を実績に反映できないと判断した時は、事前に断ら なくてはならない

これも言うのは簡単だが、難しい話です。とくに、このような景気の悪い時代に仕事を断ることが出来るのだろうか。コンサルタントも熟練度が増せば、クライアント企業の状況、担当セクションと担当者、プロジェクト内容などを見れば、これは成功するかしないかは見えてくるものです。

その見極めが自ずと出来るようになるのです。それがプロフェッショナルたる所以かもしれません。理由は致命的な要因と総合的に難しいという判断をすることになるでしょう。致命的な要因はカンタンです。よく言われる『ヒト、モノ、カネ、情報』が欠けていることと、そのバランスなのです。そのチェックポイントを簡単に説明しましょう。

1)ヒト

コンサルティングはプロジェクトを通じて、クライアント企業の『ヒト』にノウハウやスキルを伝授するものと小生は考えています。クライント企業に該当する担当者がいなければ、プロジェクトが進まないのです。コンサルタントが去った後は、そのコンサルタントが残したノウハウを自社で遂行することができなくなります。最近、マーケティングを推進するために人材派遣が増えているのもそのためです。担当する人がいなければノウハウは残らないのです。

ある業務を遂行するために、能力ある人材がクライアント企業にいないから、コンサルタントに依頼することと、単に忙しくて人材が不足しているのでコンサルタントに依頼することは明らかに異なります。コンサルタントはサービス業です。誰もやりたがらないから委託される労働集約的なサービス業ではなく、誰も出来ないから委託されるサービス業であることをコンサルタントは自覚することが必要でしょう。

また、コンサルタントに任せ切りで、担当者やプロジェクトチームが通常の業務に追われて、『自分の業務ではない!』という感覚に陥る場合や、プロジェクト自体への参加を拒んだり、あまり興味を持たなかったりと熱心でない担当者も少なくありません。それによって業務の推進速度が遅くなるという傾向が多々あります。

コンサルタントは業務を進める場合は必ず節目々でのチェック(確認)をすることが大切になりますが、主体性はクライアント企業にあり、ソリューション過程ではしばしばディスカッションと確認によって前に進むことがあります。このような場合、コンサルティングに入る前にはそうした状況や不明な点が多く、このようなケースがあることも頭に入れておきましょう。

2)モノ

モノとは、クライアント企業の商品やサービスを意味します。この販売する商品が求めるターゲット層に売れるかどうか、それに疑問を持つようなモノであれば、斬新なアイディアは出てこないのです。販売チャネルの開発や販売促進の手法開発については、「売れない」と判断した時には、断るべきでしょう。

とくにマス媒体やコンサルタント費用を加えると、どれだけ売れても経費が上回るようなモノについては業務を受けてはならないのです。この商品やサービスは『売れる!』という判断と、自らが良いモノであると認めることができるものであれば、コンサルティング業務を引き受けてもいいのですが、そうでない場合は断るべきであろうと思います。仕事として割り切ってやっても、よいソリューションが出てこない場合が多いからです。

3)カネ

予算が小規模なために失敗するケースも少なくありません。たとえテストマーケティングであっても、実戦には変わりはないのです。キャンペーンやプロモーションを実行する上で必要最小限の費用が発生します。

とくに費用対効果を重視する企業においては、コンサルタントが入ることによって、あるいはコンサルタントフィーによって、利益が出ないのであれば実施すべきではないと考えます。戦略やキャンペーン等費用やその準備費用が捻出できない場合は断る方が無難と言えます。

4)情報

機密保持契約を交わしても、必要な方法やデータをオープンにして頂けないクライアントの場合、あるいは業務が遂行すると後追いで各種のデータを提出される場合もあります。しかし、コンサルタントをうまく活用するには、データと共に理解しやすい状況をクライアント企業自らがつくってあげる方が、様々なアイディアや精緻なプランニング、あるいは斬新なソリューションの方法を見出してくれることになるのです。

地図も、道しるべも目標物もないところで、自らが目的に辿り着くことはないのです。目的に向かって進みながら過去の経験から、新たなコンサルティング能力が発揮されるのです。コンサルタントはノウハウを持っているのではなく、実践向きのノウハウを考え出す能力を持っているのです。そうした能力が発揮できないプロジェクトは断るべきであろうと思います。

10.コンサルタントの業務を進めることは容易だが、適正な報酬を得ることは難しい職業である。

コンサルタントは物品を販売するのではなく、業務を遂行する時間や期間で費用が支払われます。クライアント企業は業務に対しての評価によって、高いか、安いか、あるいは適切な価格なのかを判断します。まず、下記のような基本的な業務水準を維持することが必要となります。

1)実績に反映するコンサルティングを行うこと。

2)クライアント企業やその担当者にノウハウやスキルを残すこと。

3)クライアントが去った後も、そのノウハウが引き継がれること。

4)クライアント企業に絶えず新しい情報を提供すること。

5)コンサルタントの判断で最善策をレコメンドし、それを遂行すること。

6)経営者、担当者、担当者の上司など、プロジェクトを遂行する担当セクションに信頼されること。(経
  営者のGOサインだけでプロジェクトが進むと必ず破綻する)

7)プロジェクトの進め方を確認し、クライアント企業の疑問や不信を取り除くまで、あるいは詳細な説
  明をして担当者が納得するまでは業務を先に進めないこと

今までのコンサルタントと今後のコンサルタントのあり方はかなり異なると考えられます。上記項目は必要項目であり、これに加えて1)目標値を決めてその数値をクリアすること、2)基本コンサルティング費用と成功報酬方式の採用、3)2)を遂行するために効果測定や検証を行い、実績にどのように反映したかを知ること、4)実績を上げられるまで見極め、最後まで数値に責任を持つことなどが挙げられます。

今回は前号に続き、コンサルティング10か条:解説版の後半6~10までをお送りしました。今までの経験論を展開しましたが、混沌とした時代、あるいは厳しい状況ほど真のコンサルタント能力が求められます。まだまだ、小生も発展途上だと思っております。自らを戒め切磋琢磨してコンサルティング業務を推進するつもりです。前号と本号は参考になりましたでしょうか。

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[コンサルタント10か条:解説版その2] 2003年12月15日

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