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シリーズ完結版:3.コミュニケータの心理を捉えた研修カリキュラム

コールセンター運営の最大の鍵、「人材育成」について考える』シリーズの第三回です。

【第三回】コミュニケータの心理を捉えた研修カリキュラム

前回のコラムでは研修計画をたてる際の考え方や手順などについてふれてきました。今回は研修カリキュラム(タイムスケジュール)を検討する際のポイントなどについてご紹介します。
 
1.カリキュラムの精度が研修効果に大きく左右する
前回のコラムで、カリキュラムの検討に入る前に整理すべき大切なことについてふれてきました。今回は、いよいよカリキュラムの検討についてご説明したいと思います。

コールセンターの研修カリキュラムを拝見する機会がよくあります。多くの場合、時間割がエクセルの表組みできれいにまとめられており、一見すると内容の差はややわかりづらいものです。ところが、内容を確認すると、精度が高くよく練られたものから、検討レベルがまだまだ浅いものまで様々です。

注意すべきなのは、精度の低いカリキュラムでも、トレーニング実施は可能なことです。受講生は多少理解しにくいと感じていても、講義全体を俯瞰して評価することはまずありません。研修後のアンケートでも、カリキュラムの精度の差は結果としてなかなか現れてこないものです。しかし、講義内容はその後のコミュニケーターの成長に確実に反映してしまうため、質の低い講義は時間・労力のムダにつながります。

2.コミュニケーターの心情を深く意識する
カリキュラムを検討するにあたって非常に重要なのが、受講生であるコミュニケーターの心の動きに注意することです。まずはスタート時。受講生がこれから学習することに対して、どのような感情を抱いているのか。不安なのか、楽しみなのか、あるいは不満があるのか。

最初の時点の気持ちを推測し、可能な限り早期になるべく良い心理状態に持っていくことが大切です。もちろん受講生の全員が同じ感情を抱いている訳ではありませんが、多くの場合は日常業務と研修の関係・研修の告知の仕方、研修対象者によって、ある程度は集団としての心の動きに影響が出てきます。

また、カリキュラムは教えるべきことを羅列するだけでは十分ではありません。カリキュラムに組み込むべき内容(モジュール)ごとに、その学習を受けてどう感じるのかを推測していく必要があります。

3.その時々の状況に応じてカリキュラムを考える
具体的な事例でご紹介しましょう。

コールの習得にはスクリプトによる学習が必ず含まれますが、スクリプトを初めて提示するタイミングはセンターや受講生によって変えていきます。よくあるカリキュラムでは、下図のような流れで学習を進めます。

     図-状況に応じて研修のカリキュラムを変更する
cu1.jpg

図の左の1)が通常のカリキュラムですが、先日実施させていただいた研修では、右の2)の流れで行いました。その違いは、「スクリプトの紹介と内容の説明」を実施するタイミングです。

「スクリプトの紹介と内容の説明」の順序を変えた背景は、そのセンターでのスクリプトの役割やとらえ方にありました。このコールセンターでは、それまで個別のお客様の事情や心理に合わせた臨機応変な応対力を最重要視してきました。そのため、具体的なトークの指導や日常のオペレーションでもスクリプトは活用していませんでした。

結果として、伝える内容や応対スキルのばらつきが大きく、均質化が大きな課題のひとつでした。ところが、一方で各自の個性を生かした力強いトークがあったため、スーパーバイザー以下現場スタッフ全体として、スクリプトに対して強い抵抗を示すことはあらかじめ予測ができていました。

そこで、その時の研修では、まず「スクリプト」という名称は一切出さないことに決め、「トークヒント集」と称して、その活用を促すことにしました。

カリキュラムではスクリプトを提示する前に「理想コールの視聴」を早いタイミングに持ってきました。これまでと違った雰囲気でかつ高い質のコールを聞くことで、「こんなコールをしてみたいな」「これだったら自分でもできそう」「こんなトーク(内容)を話してみたい」と早い段階で感じてもらえる工夫をしました。

その後、このコールを実現するためのサポートツールとして「トークヒント集」を紹介したのです。研修中の受講生の反応は、こちらが狙っていたもので進むことができました。

 研修数日後、受講生に新しいコールの感想を聞くと、

「トークヒント集に沿って話をしたら、お客様から『ありがとう』と言われることが増えてうれしくなりました」

「これまでは、常に頭の中で会話の内容を考えながら話していたのが、ヒント集があるとコールが格段と楽になりました」というものでした。

カリキュラムを工夫せず、研修で受講生にいきなりスクリプトを提示し、これに従って会話をするようにと指導していたら、恐らく強い抵抗を示していたでしょう。

受講生が一度、そのような気持ちを抱いてしまったら、それを払拭するのは難しいものです。事前のカリキュラム検討の際に何度も議論を重ねたことが、その後のコールの成功につながったといえます。

これは私共にとっても、改めて研修の受講生の心理を深く意識したカリキュラムの重要性認識した経験となりました。

コールセンターの運営は1+1=2ではない世界。決まった正解がない一方、様々な工夫をしたことが結果に表れてきます。研修カリキュラムも、100センター、100通りとまではいかなくても、常にコールセンターの状況や受講生に応じた内容で研修を実施することにしています。

<コールセンター運営の最大の鍵、「人材育成」について考えるシリーズ>

第一回】研修とOJTを組み合わせた「2STEPトレーニング」の薦め

【第二回】スキル定着に効果を発揮する人材育成プログラム作成法

【第三回】コミュニケータの心理を捉えた研修カリキュラム

【第四回】ロールプレイングの効果を最大化するには


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[シリーズ完結版:3.コミュニケータの心理を捉えた研修カリキュラム] 2010年8月31日

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