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コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(2)

ct_201004.jpg1.jpg月刊コンピュータテレフォニー4月号への執筆より

マーケティング最前線:連載第87回 2010年3月20日

現場力に直結するトレーニングを!
~スキルの「定着」を目指した『2STEPトレーニング』のすすめ~


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トレーニングの基本設計にはゴールの設定が不可欠!

新人トレーニングに力を入れていても、一度デビューしてしまえばあとは現場のOJTに任せきりというセンターもよく見られる。だが、コミュニケーターは実際の電話応対の中で新しい課題にぶつかり、それを克服してスキルアップしてゆくものである。したがって、常にモニタリングなどのスキルチェックを導入し、定期的なフォロートレーニングを行うことが重要である。

教育計画を立案する際には、最終的なゴールが明確でないと、ベストなプランを作成することはできない。よくあるのは、企画側の持ち合わせている知識や、教えておいた方がよいであろうと思われる項目を羅列しただけのプログラムがある。

だが、これでは、個々の知識・スキルをばらばらに学習することはできても、終了後に受講生を望ましい水準までレベルアップすることは難しい。まずは「(現時点で)何が課題であり、どんな内容をどのレベルまで教えるべきか」ということを確定する必要がある。

つまり、トレーニングにより、どのようなスキルを備えたコミュニケーターを育成したいか(=トレーニングのゴール)をイメージし、そのために必要な教育プログラムを検討するというプロセスを忘れてはならない。

その際、(1)スキル、(2)知識、(3)マインドの3つの分野に分けて考えることが望ましい。(1)は、声や話し方など、コールを維持し目的を達成するための会話の技術を、(2)は、コールで取り扱う商品や業界情報、法律や社会情勢などの関連知識を、(3)は、電話応対のプロフェッショナルとして、企業の顔(代表)としての心構え、その上で担当するコールにおいて達成すべきゴールを理解する。

これらはどれが欠けても「理想のコール」にはならない。現状において、どの分野の何の能力が足りていないのかを慎重に検討し、トレーニング内容を考える必要がある。したがって、教育プログラム立案には、現状分析が不可欠とも言える。

トレーニングマップとトレーニングの基本設計書

教える内容が明確になっても、いきなりカリキュラム作成に着手しては良いトレーニングを設計することは難しい。我々は、当初の目的や方向性がずれることのないよう、スクリプト作成に際して、トーク文言ではなく基本部分の骨組み(設計書)から着手することを提唱してきた。トレーニングの場合も同様で、個々のカリキュラムに議論の焦点が当てられ、本来の目的を見失うことを避けるため、最初に基本構造をすることが望ましい。

ここで、トレーニングの設計に必要なドキュメントについて述べたい。

まず、センター全体におけるトレーニングプラン(全体像)が設定されているのが理想である。これは、新人のデビューから実施するトレーニングの内容をタイミングごとにまとめたもので、この中に個々のトレーニングが位置づけられる。

一つ一つのトレーニングは、「トレーニングマップ」と「トレーニング基本設計書」によって規定される。「トレーニングマップ」とは、研修、OJTのそれぞれのゴールや実施すべき内容をまとめたもので、トレーニングにおける個別の研修プログラムやOJT施策の位置づけが一目で理解できる。

「トレーニング基本設計書」とは、文字通りトレーニングの基本的な骨組みを規定したもので、2Stepトレーニングを実行するにあたり、非常に重要な意味を持つ。我々が通常、使用する「トレーニング基本設計書」は次の項目から構成されている。

【トレーニング基本設計書の項目】

(1)トレーニング基本情報
・最終的なゴール、対象者、タイミング、所要時間など

(2)トレーニング推進体制
・体制図、各担当者の業務と主な役割

(3)STEP1(研修)のゴール

(4)STEP2(OJT)のゴール

(5)実施プラン

(6)研修チームとOJTチームの情報共有のしくみ

(7)トレーニング担当者
・研修担当のトレーナー、OJT担当のSVに必要なスキルと学習プラン

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(1)では、先に述べたトレーニングの最終的なゴールのほか、対象者、タイミングなどを、(2)ではトレーニングにかかる体制を定義する。「トレーニング基本設計書」の中でポイントとなるのが、(3)(4)で、研修・OJTのそれぞれのステップでどこまでできるようになるか(=ゴール)を明確にしておく、ということだ。

それにより、研修で習得すべき範囲、OJTでフォローすべき範囲が明確になり、具体的に実施する内容を検討することができる。(5)では、実際に行う個々の研修およびOJTの実施タイミングや概要などを定義する。

さらに、2STEPトレーニングの中で重要なのが(6)である。事前準備、研修直前、研修直後と3つのフェーズに分けて、それぞれにおいて研修担当者とOJT担当者が適切に情報交換できるようにしておく。

たとえば、研修の際、受講生(チーム)の反応はどうであったか、どのレベルまで引き上げることができたか、モチベーションはどうか、などは重要な共有事項である。(7)では、トレーナーやOJT担当のSV自身に必要とされているスキルなどを明確にしていく。

特にOJTを担当するSVに求められることを整理しておくことは重要で、大規模センターで多数のSVがプロジェクトに関わる場合や、複数のアウトソーサーに委託をしている場合はSVの能力差が大きく、そのままOJTを任せるのには不十分なケースもある。

また、ベンダーによってSVの役割や位置づけが異なる場合、事前にSV向け説明会や学習の機会を施しておくことも必要となる。場合によっては、アウトソーサーへの要望事項として提示するのもよいだろう。

こうして作成された「トレーニングマップ」「トレーニング基本設計書」に基づいて、タイムテーブル式のカリキュラムや個別の研修・OJT実施時の注意点や必要資材などを記述した実施マニュアルが作成・管理される。

トレーニングの基本設計には、研修担当者とOJT担当者がセンターの課題を議論した上で共通の目標設定を行うことが不可欠だ。個別のカリキュラムなどは、すべてを全員で議論する必要はないが、最終的なゴール設定を意識しなければならないため、それぞれ勝手に作業をすればよいというものではなく、やはり連携を重視すべきである。

このように、「基本設計書」から始める2Stepトレーニングは、研修とOJTの連携やドキュメント化など、一見手間がかかるように見えるが、最終的にはスキルの定着につながりやすい。その結果、長い目で見れば人材の定着からコストの削減も可能になるという利点が高く評価されている。

次回は、スキル定着に効果の高いトレーニング方法である「体験型学習」や、「2Stepトレーニング」の事例について、具体的に解説する。

コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(1)

コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(2)

コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(3)

市場通信

コールセンター・コンサルタント
石橋由佳 古館良子

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[コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(2)] 2010年3月26日

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