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コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(1)

ct_201004.jpg1.jpg月刊コンピュータテレフォニー4月号への執筆より

マーケティング最前線:連載第87回 2010年3月20日

現場力に直結するトレーニングを!
~スキルの「定着」を目指した『2STEPトレーニング』のすすめ~


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コールセンターの生命線はトレーニングにある。経済が停滞する中でトレーニングコストも見直されている。しかしながら、スキルが定着するトレーニングの実施こそが真のコスト削減につながることは意外に理解されていない。そこで、今月と来月にわたって、トレーニングの段階的手法や「身につく」トレーニングの設計のしかたや実践のポイントについて解説する。


コールセンターにおける教育・研修等トレーニングを取り巻く環境

昨今の景気低迷の影響は業界・企業規模の大小を問わず各方面に及んでいるが、コールセンター業界も例外ではない。センター内のあらゆるコストの削減が叫ばれる中、当然ながらトレーニングもその対象となっている。

そのため、最近では、トレーニングの時間を見直し、外部への研修委託などの縮小、短縮する動きが広がっている。しかしながら、トレーニングと一口に言ってもその内容は多岐にわたり、例えば、新人教育の場合は「会社概要・ミッション(センターの使命)の理解」、「基本的な応対マナー」、「応対スキル」、「商品知識」などに分かれる。

この中で、「商品知識」などはその他のトレーニングや個人の知識や経験で代替することが難しく削減しにくいため、「ミッションの理解」などが軽視されたり、時間数が大きく削減されたりしている。こうした状況下で、コミュニケーターはスキル不足のままデビューし、「実戦」でスキルを磨かざるをえなくなっている。

現場SVはスキル不足のコミュニケーターの管理することになり、エスカレーションが増加したり、つきっきりで教えることになり、本来の育成、指導まで時間が割けないなどの悪循環になっている。つまり、お客様の立場から見れば、レベルの低い応対を受けていることを意味しており、双方にとって不幸な事態と言えよう。

こうした状況が続けば、顧客ロイヤリティーの低下につながり、将来的には客離れなど深刻な事態を引き起こしかねない。

また、費用の圧縮と成果の向上などを目的として大規模センターなどで広く採用されているマルチベンダー方式によるアウトソーシングでは、トレーニングがアウトソーサーに任されている場合が多く、ベンダーごとに応対品質にバラつきが見られるケースも多々ある。

実際、マルチベンダーのセンターでモニタリングを行うと、アウトソーサーごとのカラーがはっきりと出る場合があり、「これで同じ会社のセンターなのか」と耳を疑うこともしばしばである。また、複数拠点でコールセンターを運営する場合も同様で、拠点による品質のバラつきには多いに注意する必要がある。どのような形であれ、トレーニングをアウトソーサーに任せている場合、センターの担当者はその内容を厳密にチェックし、応対品質を維持してゆく必要がある。

さらに、さらなるコスト削減のために、外部への研修の委託などを大幅に減らしているケースも多いが、外部講師ならではの指導の意義は大きく、本来であれば、内部での研修、外部での研修のメリットとデメリットを認識し、使い分けるのが望ましい。いずれにせよ、大切なのは、顧客接点であるコールセンターの応対レベルを確保することにある。くれぐれもコストと品質がバーターにならないようにしなければならない。


スキル定着なしでは不可避!トレーニングコストのムダづかい

そもそも、トレーニングにはどのようなコストが発生するのか。社外講師の費用など、見えやすいコストに目が向きがちだが、実際には様々な部分でコストがかかっている。例えば、新人研修の場合、次のようなものがある。


(1)トレーニング設計に関する費用
カリキュラム作成、実施マニュアルから配布用の資料作成までに必要な人件費

(2)トレーナー費用
トレーナーの人件費

(3)コミュニケーター人件費
オリエンテーションからトレーニングまでの人件費(時給×かかった時間)

(4)トレーニング実費
資材費(テキスト代など)

(5)その他採用コスト
コミュニケーターの採用にかかる費用で採用広告出稿、説明会費用(会場費、資料代を含む)、採用にかかる社員の稼動費用

このうち、大きな費用が(3)であり、社員がトレーニングを担当している場合、(1)(2)は見落とされがちである。稼動を割いている以上、費用が発生していると考えるべきである。

1時間分の稼動費用を仮定して計算してみれば、採用からトレーニングまでにかかる総額の費用がわかる。

むろん、トレーニングにかかる費用自体を適切化することも大切だが、品質とのバランスを考えると、むやみに圧縮してよいものではない。むしろ問題なのは、費用をかけてトレーニングを実施しても、スキルが定着しないケースを問題視する必要がある。実際、モニタリングをしてみると研修内容が全く活かされていないという例が後を絶たない。

そもそも、スキルが定着しなければモチベーションを維持することが難しく、人材が定着しない=離職率が上がる、という結果につながり、採用→トレーニングを繰り返す悪循環に陥りかねない。

つまり、トレーニングを適切に設計・実施することこそがセンターのコスト削減と品質の維持・向上を両立させる上で大切なことなのである。


「インプット」と「定着」2stepトレーニングのすすめ

トレーニングというと、集合型での研修を思い浮かべる担当者も多いだろう。しかしながら、数時間の研修のみで劇的なスキル改善を期待する、というのも少々無理な話ではある。なぜなら、コールセンターで必要とされるスキルには、研修の場で学習しただけでは習得が難しいものも数多く含まれるからだ。

そこで弊社では、トレーニングの成果を最大化するために、トレーニング=研修+OJTと定義し、「2Stepトレーニング」として研修を「Inputの場」、OJTを「定着の場」として明確に位置づけて一連の流れとして捉え、両者が連動して受講生のスキルアップを目指すことを推奨している。それぞれのStepの内容は次のように分かれる。

研修(Inputの場)では、(1)概念の理解、(2)必要スキルの理解、(3)理想コールのイメージ共有、(4)実践練習までが目的となる。現場に出る前の段階で学習・習得できる内容を抑えることがメインとなる。

一方、OJTの場では(1)承認やねぎらいによるフォロー、(2)朝礼などでトレーニング内容のポイントの繰り返し、(3)実行状況の把握とフォロー(個人、グループ)、(4)ロープレなどによるフォロー、(5)良いコールなどの実際の音声視聴による学習、といったように現場での実践ができるよう、ありとあらゆる対策を講じる。

このように、「OJTでフォローする」と聞くと、当たり前すぎると思われるかも知れないが、ポイントは、トレーナーと現場SVが研修・OJTを一連の業務として捉え、最終的なゴールやそれぞれの役割分担を共有することにある。

残念ながら、多くのセンターでは両者が適切に協働できているとは言いがたい。トレーナー(もしくはトレーニング担当者)は、現場の状況を踏まえて研修メニューを検討しているか。現場のSVはトレーニングの内容を正確に理解し、研修内容を踏まえてコミュニケーターを指導しているか。コミュニケーターから研修内容について質問を受けても答えられるか。これらがすべてYESでなければ、研修とOJTが連動できていないと判断できる。

実際、トレーナーと現場の担当がお互いに「もっときちんとやってくれればいいのに」と思っている場合も少なくない。ある程度以上の規模のセンターでは、教育部門が独立しているケースが多く、どうしても連携は薄くなりがちである。中には、完全に縦割りの組織となっており、日々の情報共有さえないセンターさえある。

2Stepトレーニングでは、教育計画を立案する段階でトレーナーと現場SVの役割分担と実施プランをきめ細かく設計する。研修の場は時間的な制約も多く、効率的な学習が求められるが、学習内容を質、量ともに高いレベルに持ち上げていくのは、OJTの役割となる。

コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(1)

コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(2)

コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(3)

市場通信

コールセンター・コンサルタント
石橋由佳 古館良子

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[コールセンターのトレーニング・カリキュラム設計法(1)] 2010年3月25日

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