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月刊コンピュータテレフォニー2月号への執筆より
マーケティング最前線:連載第84回 2010年1月20日
何でもネットシフト?
観光地や地方に出張に行った際に、地元の名産品を好んで買っては試すことが多くなってきた。とくに、国内では醤油や味噌などその土地の老舗があって、多少重いのだが「おみやげ」として購入する。帰宅してから、家族でいろいろ食す楽しみがあるからだ。
自分が気に入ったものは友人や知人に自慢することもたびたび。ここまではきっと誰でも経験することだが、最近はちょっとショックな出来事がある。それは、散々そのおいしさを多くの人に説明した後で、「それ楽天で売っていましたよ! 」と言われてしまうことだ。その商品を購入するために、わざわざ老舗の本店に行ったことが、何だか無意味な感じになってしまうのである。
それも、購入した商品が持ちきれずに宅急便を使うことさえあるのにだ。そういう時は、ネットで検索したことは伏せて、わかっていても言ってくれなければいいのに、と心の中でつぶやくこともある。ネットを利用することが増えるのに伴なって、こうしたネット時代での新マナーが必要かもしれないと思う次第である。
もちろん、検索サイトで調べて、ネット販売していることに自ら気づくことも多々ある。ところが、何故かいつでもネットで購入できるとわかってしまうと、購入意欲がすっかり薄れてしまう。自分が見つけたと思い込んで、内心ほくそ笑んでいた商品も、『堂々、○○部門1位』とネットのショッピングモールに書かれていると、それまでの有頂天になっていたテンションはどっと下がる。
高い評価が自分だけではないという、うれしさはあるものの、ネットでも購入できることを「知らないのはあなただけ! 」と、目に見えない刻印を押されたような気になるから不思議だ。しかし、そうした商品を販売する側からすれば、自信がある商品をより多くの人に知ってもらい購入してもらうために、ネットショップに出店している。
もちろん、観光地を訪れる客にも購入してほしいが、全国あまねく多くの人に地元の名産品を買ってもらいたいと思うのは、商売上至極当然である。ただ、顧客心理は微妙なもので、「おみやげ」としての価値が薄れてしまうことがある。そのため、そのお店に行かないと食べられない、購入できないという"限定的な販売内容"が必要であろうと思われる。複数のチャネルを使う際は、そのチャネルの特性や違いを十分考えておくことが大切である。
このようなマーケティングにおける一般論や方程式も、昨今のネット&デフレ時代においては崩れつつあることも確かだ。店舗への来店客数が極端に減少すると、店の運営費用が重くのしかかる。そのため、来訪者や売り上げが多いネットへシフトすることも少なくない。
1997年から日本で店舗展開していたオフィス・デポは、採算が合わない店舗から撤退し、ネットやカタログでの通販に絞り込んでいる。こうしたチャネル転換の現象は、今後、中小企業や商店レベルまで移行するのではないかと思われる。
ネットの浸透で日常生活が非常に便利になるのは有難いが、その一方で今まで楽しんでいたことが、どんどんなくなりつつあるのも寂しい。この流れに少し反抗したくなるのは、私だけではあるまい。
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[何でもネットシフト?] 2010年1月20日
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