月刊コンピュータテレフォニー12月号への執筆より
マーケティング最前線:連載第71回 2008年11月20日
戦略的な経費削減
世界的な経済の減速は米国の金融不安によって始まり、個人や企業においてさまざまな変化を求められている。個人の消費では自己防衛としての守りの消費スタイルが広がり、企業では経費面での厳しいチェックがなされるようになってきた。
米国企業の従業員削減やリストラ、あるいは広告費の減額は、少なからず日本の企業にも押し寄せつつある。あれほどの伸びを示していたネット広告関連企業も下方修正や減益の報告がされている。このような景気低迷期にさしかかる状態を、日本企業は過去に何度も経験しているに違いない。つまり、景気減速期の企業戦略やマーケティングはいかにあるべきか、ということを、今まさに真剣に考える時期なのである。
2000年前後の日本もそれほど景気が良好ではなかった。そんな状況において、米国か「CRM」の考え方がやってきた。そもそも、CRMは既存の顧客をいかに囲い込むか、という上位概念から出発したが、当時はそんなことよりも新規の顧客をどのように獲得するかというミッションにも、このCRMの概念が使われた。
そうした状況が"顧客情報管理"という言葉を派生させ、顧客管理システム=CRMとなっていることも、否めない事実である。CRMは、企業が顧客との接点を管理・運営・活用するもので、顧客とのコミュニケーションを一連のマーケティングのサイクルのなかで、いかにチェックするかが決め手である。そのため、顧客(潜在客・見込み客・既存客)への情報発信から、売上高や利益に至るまでのアクションやプロセスをチェックしてこそ、CRMは戦略的に生きてくる。
そのため、顧客へ発信する各種メディアから、顧客が反応して企業へコンタクトする接点を細かくチェックする。
実は、この企業のマーケティングプロセスをチェックする作業で、企業の日常のアクションにおける"無駄"を発見することが少なくないのである。単純なものとしては、PR誌をHTMLのメルマガに替えるとか、電話応対の1件あたりの処理時間を短くするとか、毎月定額支出しているネット広告を小まめに数値チェックして見直すとか、である。つまり、今まで必要経費とされてきたマーケティング投資を、効果・効率から細かく見直していくことが自社のCRM戦略になり、ひいては経費削減に大きく貢献することになる。
このような考え方は、企業の成長期や売り上げの好調な時には、あまり実行されることはない。自社のマーケティングプロセスをチェックしないまま、CRMシステムを導入し、今までの数値を再確認するだけに終わってしまうことが多いのである。
ネット時代に入り、以前は端っこにあった企業でのネット活用が、戦略的に上位に位置づけられるようになってきた。まさに、今まで出来なかった「CRM」が、ネット上に残るログデータの活用によって、新たな局面を迎えている。
現在までにネット戦略として、さまざまなことを実施してきたに違いない。それを自社のマーケティングサイクルとしてまとめあげ、絶えずチェックできるように整備することが重要であり、これがなければ新たな戦略や投資もしにくい状況となってしまうであろう。
戦略的な経費削減とは、単に人員削減や、文房具の節約、新聞・雑誌の購読停止のたぐいだけではないことを付け加えておきたい。
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[戦略的な経費削減、それもCRM!?] 2008年11月21日
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