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悩ましい!マーケティング現場

月刊コンピュータテレフォニー10月号より

マーケティング最前線:連載第68回 2008年9月20日

悩ましい!マーケティング現場


日常生活において、新たな習慣になってしまうほどに浸透する商品については、そこに「社会的」、あるいは「文化的」という言葉が付加される。市場に送り出す側の企業にとって、これほど強い味方はない。

もはや、その商品は当たり前の"モノ"で、誰でも購入する必需品となるからである。IT系商品のパソコンや携帯電話、ネットワーク機器、各種デジタル製品なども、当たり前のモノとしてどれくらい広く消費者に浸透するかどうかで、爆発的な売り上げが見込まれる。

このような商品の1つに、ソニーが開発し世に送り出した「フェリカ」がある。この電子マネーの存在は"小銭を持たない習慣"や"かざすというアクション"を消費者に植え付けた。ソニーというブランドを無理に押し付けることもなく、消費者が広く認識し、使えば使うほどに、水道やガスなどの社会インフラと同様の"社会的な決済基盤"となり得る。

JRの切符購入や定期の代替えから始まったSuicaは、JR系コンビニやキオスクでの利用だけではなく、各種小売店での支払いや、個人認証にまで波及し、最近では行政サービスにも広がりを見せている。

おサイフケータイの普及がさらに後押しして、当初の需要予測を大きく超えたに違いない。加えて、決済の枠も乗り越えつつある。小銭から札へと、消費者は慣れてくるとどんどん高額決済でも利用するようになってきたからである。

さらに、拍車をかけたのがポイントシステムの潮流であり、このITの大きな流れに乗って、うまく適合させたソニーの戦略と実践力は見事というべきであろう。一方、このような状況において、電子マネーを導入している企業ではどのようにマーケティングを実践しているのであろうか。

今までとは異なる前提条件において、顧客へのプロモーションを再検討する必要性を強く感じる。電子マネーは単なるインフラではあるものの、現在では、電子マネー・システムの導入の有無によって、他社や他店との差異化あるいは囲い込みがなされ、導入企業によってはそれなりの効果を出している。

今後、電子マネーの取り扱いが増え、どこでも使えるようになれば、このインフラに乗せて各種キャンペーンなどのプロモーションを頻繁に行うことが求められる。ポイントシステムも含め、こうしたツールがあることで、以前よりもCRMやプロモーションの実施が容易になっていることを考えると、なおさらである。

以前は、決済を現金で行うかクレジットカードにするか、また購入先は店舗かネットかで迷っていたものだが、電子マネーとポイントシステムの浸透で、購入意思決定のプロセスに大きな変化が起きている。

自分自身で"得をする"判断が必要にはなるが、その分選択肢は増えてきている。溜まっているポイントで購入するか、店舗で実物をチェックしてネットでポイントを集めるか、集めているポイントに固執して同じ所で購入するかなど、決済の選択に迷うこともある。

また、ネットショップにおいても、在庫をあまり持たないショップだと購入した商品の到着が遅れたり、送料が高いことがあるため、こうした場合は少々高くても到着するのが早いショップや、送料無料のショップを選ぶこともある。マーケティング現場においては実に悩ましい時代となってきたと思われる。

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[悩ましい!マーケティング現場] 2008年9月22日

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