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新連載 数字を上げる!コールセンターのモニタリングその17

月刊コンピュータテレフォニー7月号 2008年8月20日
連載 実践編収益を上げるモニタリングより

収益を上げるモニタリング:第7回(最終回)

"個人評価"から"センター評価"へ
「運営の最適化」に向けたチェックシート作成法

モニタリング結果を、コミュニケーターの個別スキル評価以外に有効活用できているセンターは少なくない。モニタリング結果は、SV、マネジャーとコールセンターの関係者すべてに対して、様々なメリットをもたらす有効なものある。最終回の今回は、モニタリング結果を直接セマネジメントに活かせる「モニタリングチェックシート」の作り方について解説する。


コールセンター運営に欠かせない要素とは

「コールチェックシート」の肝となる、センターの運営に欠かせない要素について説明する。今日では、センターで実施されている業務(コール)の目的・内容や、取り扱う商品・サービスの内容は多岐にわたるが、ここで解説するのはどのセンターにも共通のベーシックな内容である。

センター運営に欠かせない要素は、大きく二つに分かれる。(A)コール(通話)に直接影響を与えるグループと、(B)センターマネジメントに深くかかわるグループだ。どちらも長期的な視点で見ると、センターを適切に運営し、応対品質アップと業績向上につなげるためには不可欠な要素だが、(A)の方がコールに直接関与する分、短期的に影響度(成果)が見えやすく、(B)の方がより長期的な影響力を持つ、という特徴がある。それぞれの具体的な内容としては、以下の8項目となる。

(A)コールに直接影響を与える要素

1.コールの基本設計:「どんなコールにするか」
2.オペレーションツール:「お客様と何を話すか」(スクリプト、FAQなどの整備)
3.モニタリング:「お客様とどう話すか」
4.トレーニング:スタッフをどう教育するか

(B)センターマネジメントにかかわる要素

1.組織づくり:どのような体制で運営するか
2.人材管理:センターのスタッフをどう管理するか
3.品質管理:応対品質をどう管理するか
4.運営・管理マニュアル:運営にかかるルール化をどうするか

大部分の項目は、スタンダードなものであるが、(A)-1の「コール基本設計」については、現状では実施していないセンターも多い。これは、いわば、「コールの設計図」とも言えるもので、コール種別、コール目的、ターゲット像、商品メリット、阻害要因などの内容から構成される。他の項目についても、必要性は認識しつつ、整備されていないセンターも多いのではないだろうか。

これらの項目はセンター運営と密接にかかわっており、逆に言えば、センターで起こりうる事象や課題の原因は、このうちのどれかに必ずたどり着くと言える。例えば、「コミュニケーションレベル」の劣ったコミュニケーターが多い場合には、(A)-2オペレーションツール(ツールが整備されていない)、(A)-4教育(研修などの教育が不十分)、(B)-3品質管理(品質管理基準が不明確である)、などの要素に因果関係を見いだせる。

なお、一つの課題の原因は必ずしも単一の要素に限られず、複数の事柄が重なっている場合が多い。影響を与えうる主な要素を全て洗い出し、その上で何が最も大きく影響しているかを考えることが必要だ。「コールチェックシート」作成にあたり、一つ一つのチェック項目について前述の8つの要素と関連付けができていれば、課題から原因へと即座にさかのぼれるようになる。

「コールチェックシート」の活用の流れ

「コールチェックシート」を適切に作成・運用すれば、その効果は大きい。マネジャーは比較的短時間に状況を把握できるだけでなく、的確な善後策を検討することができる。
「コールチェックシート」活用の具体的な流れとしては、1.「コールチェックシート」による現状把握→2.課題の原因となる要素の理解→3.担当者との協議→4.現在の施策のチェック→5.改善プランの立案、というプロセスである。例えば、「コールチェックシート」でチェックをした結果スクリプトに原因があると判明した場合、マネジャーはツール担当者と結果を共有し、現状のスクリプトのどこが問題かを精査し修正をする、というイメージだ。

マネジャー自らが現状(お客さまとの通話の実態)と背景を理解し、担当者に直接指示を出すことで、課題解決のスピードがアップするとともに、センター全体としての品質改善に大きく近づく。ここで、「コールチェックシート」の活用により課題が発見され、オペレーションが改善された事例を紹介する。

メーカーA社では、資料請求者向けにフォローコールを実施し、アポイントを獲得する活動を行っていたところ、ある時、短期間にアポイント獲得率が下落する事態が起こり、原因究明のためにモニタリングが実施された。

ところが、コミュニケーターのスキル上の課題はいくつか見つかったが、どれも急激な成績低下の原因としては説得力に欠け、実際にスキルを改善しても獲得率の低下に歯止めがかからなかった。そこで、A社のマネジャーは、自ら状況を把握し原因を究明するため、「コールチェックシート」の採用を決定したところ、相当数の顧客が、電話をかけた時点で「資料が届いていない」と言っていることがわかった。

調べてみると、資料の内容をリニューアルしたため、フルフィルメントセンターが変わり、発送とコールのタイミングがマッチしていなかったのだ。そこで、資料発送チームとの連携を強化し、コールタイミングをコントロールした結果、顧客との会話がスムーズになり、獲得率が改善されたのである。

また、通信販売のB社では、自社顧客へのアップセルのアウトバウンドコールを実施していた。センター全体で見ると、獲得率・獲得金額とも決して低いレベルではなかったが、期待したほどの成績を上げられないでいた。

当初、B社では、顧客ニーズのヒアリンススキル改善やキラートークの発見などに努めていたが、思ったように数字のアップにつながらないでいた。そこで、「コールチェックシート」を活用してみると、多くのコミュニケーターが、お客様からの特定の質問やキーワードに対して上手に答えられず、自信のない対応をしている傾向が見られた。

そこで、マネジャーが教育担当者、ツール担当者と協議した結果、その分野のツールが整備されておらず、教育も不十分であることが判明した。マネジャーは急いでツール作成と教育計画の立案・実施を指示したところ、会話がスムーズになり、積極的なセールスが可能になって全体の獲得数字が数パーセントアップした。

これらの事例は、聞いてみると特別なことではないように感じられるかもしれないが、実際、モニタリングから課題を発見し、背景にある要素との因果関係を探ることは容易ではない。まして、スキルに関連するチェック項目以外の内容となるとなおさらのことだ。スキルのみにとらわれることなく、本来マネジャーが持つべき全体を見渡す視点が不可欠となる。「コールチェックシート」は、こうした視点の供給に非常に有効であると言える。

「コールチェックシート」の注意点

いいことずくめのように見える「コールチェックシート」だが、注意すべき点もある。第一に、全体を把握することが主目的であり、細かなスキルを精確に評価するには適していない点、第二に、個人の抱える課題や時系列での成長を追跡するのが難しい点だ。

したがって、「理想のコール」と照らし合わせた上での個別の評価やスキルアップ指導には、通常どおり、モニタリングを定期的に実施しなければならない。言い換えれば、現場を監督する立場の人間(=SV)にはスタンダードなモニタリングが適しており、いくらSVの稼動が重く、時間の確保が難しいからと言って、「コールチェックシート」で代用することはできない。

また、マネジャーも、スキル上の課題を精査するためには、モニタリングシートによるチェックを併用することが望ましい。両者は、コールをチェックするという点で、一見すると非常に似通っているが、目的と持つべき視点が大きく異なる。したがって、どちらか一方だけでは不十分で、コールセンター運営の中で立場に応じてバランス良く採り入れる必要があると言えよう。

これまで、成果を上げるためのモニタリングの活用について解説してきたが、モニタリングの適切な実施に加え、「コールチェックシート」による広い視点でのチェック、「ミステリーコール」による外部との比較が加われば、「理想のコール」「理想のセンター」に確実に近づけるのではないだろうか。


数字を上げる!コールセンターのモニタリングその1
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コールセンター・コンサルタント 石橋由佳/古館良子


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[新連載 数字を上げる!コールセンターのモニタリングその17] 2008年8月22日

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