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新連載 数字を上げる!コールセンターのモニタリングその12

月刊コンピュータテレフォニー7月号 2008年6月20日
連載 実践編収益を上げるモニタリングより

収益を上げるモニタリング:第5回

『評価基準』は普遍ではない!
成果の出ないモニタリングの原因を探る

定期的にモニタリングを実践しても、思った成果が得られないケースは少なくない。その原因として多く見られるのが、コール内容とモニタリング評価基準の不整合だ。コール内容が変化した場合や、センター全体の品質レベルが変化した場合、評価基準はマッチしなくなる。実例を挙げながら解説する。

モニタリングシートは常に変化するもの

「モニタリングを実施しているのになかなか成果が上がらない」「モニタリングの効果がよくわからない」――このような声をよく聞くことがある。

評価基準を策定し、担当者が定期的にモニタリングを実施しているのに、目に見える成果が上がらない。こうしたセンターの現状を調べてみると、『評価基準』に問題を抱えていることが多い。なかでもよく見られるのが、①コールの種類・内容にかかわらずセンター全体で同一の評価基準を使用している、②センター開設時の評価基準を見直すことなく継続して使い続けている――というケースである。

モニタリング評価基準は、「理想のコールを実現するために必要な要素を集めたもの」だ。従って、コールの内容が違えば評価基準も同一ではないことを認識するべきである。多様な問い合わせに対応しているセンターは少なくないが、コール内容によって評価基準を変えているセンターはごく少数派であり、コール内容と評価基準が乖離していれば、いくらモニタリングを実施しても成果をあげることは難しい。

また、コールセンターの現場は日々変化するものであり、業務経験が長くなればコミュニケータ(オペレータ)の習熟度は上がる一方、一定のスパンで人員が入れ替わるため、全体のレベルが下がるタイミングもある。それゆえ、現場のスキルレベルは常に変化していると言っても過言ではない。

評価基準は、現場のスキルレベルを考慮して策定するのが基本であるため、現場の状況によっては改訂が必要だ。評価基準の見直しなくして、さらなるスキルアップは望めない。モニタリングは管理担当者にとってかなりの負担を強いる業務であり、コールの内容や現場の状況に合わせた評価基準のメンテナンスは容易に行えるものではない。だが、モニタリングは、状況にマッチさせることで、確実に成果につながるはずである。

以下では、適切なモニタリング評価基準の策定・運用を実施することで飛躍的に成果を上げた例を紹介する。

既存アウトバウンドセンターのプロフィット化

 A社は、BtoCのコールセンターで、商品についての一般的な問い合わせに対応する大規模なインバウンドセンターと、セールス型のアウトバウンドセンターの両方を運営していた。このうち、アウトバウンドセンターを見直し、より一層プロフィットに貢献できるセンターへと成長させるべくプロジェクトがスタートしていた。

同センターでは、新商品の申し込み獲得から既存顧客の取引履歴に応じた商品のアップセル・クロスセルまでさまざまな種類のコールを実施していたため、まずはそれぞれのコールに対して、スクリプト(何を話すか)とモニタリング(どう話すか)を整理した。当然ながら、内容・目的が異なるコールには、それぞれに合ったモニタリング評価基準を適用することになったのである。


目的別のモニタリング評価基準の設定

1)獲得型コールの場合

A社のセンターの主たるアウトバウンドコールは2種類あった。1つめは、取引履歴がある顧客に対し、メリットのあるメンバーシップカードの申し込みをお勧めするというもの。そのカード自体は顧客側のメリットが大きく商品力があり、高い成果が期待されると同時に、その後のA社の顧客囲い込み戦略上、非常に大きな影響を及ぼし、全社的にも重要な施策だった。

コールの目的はシンプルで、1件でも多くカード加入の申し込みを獲得すること。そのため、スクリプトもカードのあらましやメリットにフォーカスした内容にまとめ、顧客の「理解」(どんなカードなのか)と「納得」(顧客にとってどんなメリットがあるのか)を得ることに注力した。また、モニタリングの評価基準は、スクリプトの内容に応じて必要な要素が盛り込まれた。

また、顧客はA社に対し、潜在的に高いロイヤリティを持っていることが事前に分かっていたため、A社の信頼性・ブランドを維持・向上させることも重視した。まず、基本となる「スキル」(電話でコミュニケーションする上での基本的な技術)では、A社の代表として恥ずかしくないレベルのトークを目指し、オープニングや言葉遣いや声、会話の間や傾聴の姿勢などの細かなトークスキルのチェックに重点をおいた。

獲得型コールに不可欠な要素として、会話のキャッチボールにつながる投げかけや顧客の返事に対する受け答え方なども評価基準に含めた。さらに、コミュニケータの姿勢を規定する「マインド」では、「社の代表として相応しい態度かどうか」という一般的な内容に始まり、「商品を魅力的に伝えているか」「コールの最終的なゴールを意識して努力・工夫をしているか」といった獲得型アウトバウンドコールに不可欠な目的意識の確認までを盛り込んだ。また、お勧めするカードの機能は多岐にわたっていたため、商品に関する「知識」もモニタリング評価基準の重要な要素とした。

2)相談型お勧めコールの場合

前述のコールは比較的シンプルな内容であったのに対し、次に紹介するコールは顧客のこれまでの取引履歴を考慮して個別に商品のお勧めをするコンサルティング要素が必要なコールで、より高レベルの内容となる。

このコールは、当プロジェクトの開始前から実施されていたので、現在の課題を明確化するため、モニタリングによる現状調査を実施した上でスクリプト作成や評価基準の見直しなど一連の業務に着手することになった。

調査の結果、(1)会話が不必要に長くなる傾向が見られること、(2)コールの目的そのものがわかりにくいこと、(3)顧客側の知識レベルが非常に高く、コミュニケータのレベルアップが求められていること、という3つの課題が明らかになった。

3つの課題のうち、(1)(2)はコールの内容に起因する。このコールは、これまで購入した商品や好み、予算などによってカスタマイズ可能な仕組みであったため、顧客の話を詳しく聞く必要があった。その結果、どうしても最終目的(商品のお勧め)にフォーカスすることができず、ヒアリングや商品の相談が延々と続き、会話の目的が逸れてしまうのだ。当然ながら会話が冗長になって、通話時間も長くなり「結局何の電話だったの?」という事態に陥ってしまっていた。

そこで、会話の流れとコールの本来の目的を明確化したスクリプトを開発して会話をコンパクトにまとめ、それをベースにモニタリング評価基準を検討した。具体的には、通常、「スキル」「マインド」「知識」といった分野別に評価項目を設けるところ、それらの3分野に加えて、スクリプトの流れと連動する形でセールスプロセスの評価を導入した。

具体的には、「オープニング」→「電話の目的の伝達」→「顧客の好み・ニーズの把握」→「顧客に合った商品のお勧め」→「顧客の行動(購入)を喚起するための投げかけ」→「クロージング」といった各プロセスに合わせた項目を設ける格好となった。

このように、セールスプロセスと連動した評価項目を導入することにより、コミュニケータ自身が会話の構成を意識するようになる一方、管理者サイドはどこまで会話を進められているか、という点についてもチェックできるようになった。

実際、こうしたセールスのコールでは、ヒアリングができない、クロージングに結びつかない、といった課題が発生することが多いが、プロセスを整理して評価することで、コミュニケータが躓きやすいポイントが明確になり、対策を講じることが可能になったのである。

さらに、(3)については、通常のモニタリング評価項目の「知識」で、「顧客の立場にたった場合に要求される水準の知識」をチェックするのに対し、「コミュニケータが備えるべき知識レベル」を細かくチェックする仕組みを別途導入することを決定した。


数字を上げる!コールセンターのモニタリングその1
数字を上げる!コールセンターのモニタリングその2
数字を上げる!コールセンターのモニタリングその3
数字を上げる!コールセンターのモニタリングその4
数字を上げる!コールセンターのモニタリングその5
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数字を上げる!コールセンターのモニタリングその15
数字を上げる!コールセンターのモニタリングその16
数字を上げる!コールセンターのモニタリングその17

コールセンター・コンサルタント 石橋由佳/古館良子

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