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月刊コンピュータテレフォニー5月号 2008年4月20日
連載 実践編収益を上げるモニタリング
収益を上げるモニタリング:第3回
"1度作れば終わり"ではない
『成熟度』に合わせた評価基準の修正法
モニタリングは安易に実施して、良い成果を得られるものではない。事前の目標設定や準備はもちろんのこと、日々の見直しや軌道修正が欠かせない。今回は2社の事例をもとに、①モニタリングで発見した課題に対応した評価項目の追加、②エージェントの成長に合わせた評価基準の修正について解説する。
モニタリングは、「理想のコール」を実現するためのスキル要素を集約したものだ。コミュニケータ(オペレータ)は、「理想のコール」に近づくためにモニタリングシート上の評価基準をクリアしようと努める。評価基準は、モニタリングの効果を決める重要な要素だ。
センターのミッションやコールの目的はそれぞれ異なるため、最適な評価基準を設定することは容易なことではない。まずは、モニタリングにより品質向上という成果を得たA社のケースをもとに、評価基準を設定する際のポイントについて考察する。
<ケーススタディ1:高額商品の通販受付センターの場合>
問題発見・解決のためのモニタリング
A社はある高額商品を販売しており、全国的にも商品のクオリティと高級なブランドイメージで高い知名度を誇る企業だ。店舗を全国に展開し対面販売を主力としているが、早くから販売チャネルとしてコールセンターに注目しており自社運営してきた。
数年前からはWebサイト運営にも力を入れ、順調に売り上げを伸ばしている。コールセンターでは、Web上の注文受け付けや質問の対応なども行っている。
同センターにはベテランと若手がバランスよく配置されており、大きなクレームや大量離職といった目に見える大問題はなかった。しかし、現場を預かるスーパーバイザー(SV)は「お客様は実は不満を抱えているのではないか」という漠然とした不安を抱いていた。
なぜなら、深刻な事態につながるクレームこそ報告されていなかったものの、時折発生するクレームの詳細状況からこの会社が最も大切にするブランドイメージを損ないかねない対応が行われていたからだ。そこでまず、同センターではミステリーコールによるモニタリングを実施し、コールの実態を把握した。これにより、SVの懸念が的中していたことが明らかになった。
モニタリングの結果、最も問題とされたのがコミュニケータのトーン&マナーだ。同センターでは、一部のベテランのトークが新人に受け継がれたと推測され、顧客満足をはき違えた非常に馴れ馴れしい声でトークをしているコミュニケータが多数を占めていた。
また、全体を通して表現がオーバーでややおしつけがましい印象をぬぐえないコミュニケーションもあった。さらに、収益性を目指すあまりに特定商品ばかりをお勧めするコミュニケータも見られた。こうした対応は、顧客の「声にならない不満」につながりやすく顧客を失う危険があるばかりか、ブランドイメージに対してボディーブローのようにダメージを与える。これらの問題は、モニタリングでコミュニケータと顧客双方の声を聞かないかぎり顕在化しにくい。
そこで、モニタリングを活用して問題点の解決をはかった。まず、モニタリングシートでは、「声」について詳細な記述をした。同センターでは不定期でモニタリングが実施されており、従来の評価基準は「明るく聞き取りやすい声」とだけ定義されていた。
これを、イメージがつかみやすいように「A社の高級なブランドイメージに合った上品で落ち着いた声。やや低めが望ましい」と修正した。また、商品のお勧めに関しては、相手の要望をつかむためヒアリング項目を修正し、「お客様のご要望について積極的にヒアリングしたか」とし、評価基準書(モニタリング項目の詳細を記述するドキュメント)のNO(できていない)には、「特定商品のお勧めをしない」と明確に規定した。このように、評価基準を改訂しトレーニングを実施したところ、問題点は短期間に改善されモニタリングスコアが劇的に改善された。
顧客の期待値を盛り込む
A社のケースで注目すべきは、評価基準に「顧客の期待値」を盛り込んだ点だ。電話対応は顧客が相手となるため、評価基準はあくまで顧客視点で設定されるべきであることは既に述べたが、顧客が期待する応対レベル(=最低限ここまではクリアすべきであると考えるレベル)は、企業によって異なる。
たとえば、A社は全国的に知名度の高いブランドであり、商品価格も高く、広告も高級感をアピールしていた。そのため、顧客は、「あのA社なのだから、当然電話応対のレベルも高いだろう」と無意識のうちに期待しているのだ。これに対して、同じジャンルの商品でも、無名のブランドや廉価商品であれば、たとえA社よりもクオリティの低い対応を受けたとしても、多くの消費者は「こんなものだろう」と感じ,とくに不満を感じない。なぜなら、企業に対する期待値がそもそも高くないからだ。
つまり、同じ対応でも、顧客の期待値によって、顧客満足度が変わってしまうのである。したがって、評価基準を設定する際には、自社の顧客の期待値を慎重に見極めなければならない。顧客は、自分の期待するレベルが達成されないとき、大なり小なりの失望を感じて応対への評価が低下し、その結果顧客満足度も比例して低くなる。そのため、自社の顧客が感じる期待値を明確にした上で、レベルアップをはかることが重要であり、評価基準にはそれを反映させることが不可欠であると言える。
現場担当者の声を聞く
次に注目すべきは、現場担当者の意見を尊重したという点だ。一般的にSVは、抱える業務量が膨大で多忙を極めるうえに、別の担当者が品質管理を行っているケースもあり、課題発見・解決に対する意識が常に働いているとは言えない。
しかしながら、日々のオペレーションに立ち会うSVは、何かしら疑問や課題を感じ取っているものだ。A社の場合、顧客が不満を感じているのではないか、というSVの意見からモニタリングを実施した結果、課題が明確になり品質向上へとつながった。このように、たとえ漠然とした意見であっても現場に最も近い立場にあるSVの声を取り入れるのは非常に重要なことであると言えよう。
計画的・定期的な実施の重要性
検討を重ね優れた評価基準を設定しても、適切な運用がなくてはモニタリング本来の効果を引き出すことは難しい。例えば、モニタリングの結果、課題が明らかになっても対策を打たずにそのまま放置したり、現状にあわない評価項目でモニタリングを続けたりとそのままにしているケースは少なくない。
その7では、計画にそって定期的なモニタリングを実施し、結果に応じて適切な対策を講じたことで、大きな成果を得た生命保険の大規模代理店B社のケースを紹介する。
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその1>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその2>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその3>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその4>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその5>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその6>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその7>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその8>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその9>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその10>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその11>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその12>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその13>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその14>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその15>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその16>
<数字を上げる!コールセンターのモニタリングその17>
コールセンター・コンサルタント 石橋由佳/古館良子
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[新連載 数字を上げる!コールセンターのモニタリングその7] 2008年4月23日
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