月刊コンピュータテレフォニー5月号より
マーケティング最前線:第64回 2008年4月20日
オープンとクローズ
マーケティング戦略を練るうえで、オープンかクローズかという検討はさまざまなところで行われる。これは、ターゲットの選定やサービス業務提供、あるいはプロモーションなどにおいても然りである。
すべての人に提供するオープンなものがあれば、自社の顧客だけにサービスする、あるいは会員制のサービスやビジネスモデルもある。その目的と実施方法はいろいろあるが、「限定」「特別」「あなただけ」という囲い込みに人間は滅法弱く、当人の信頼や信用、プレステージにも結びつくことがあるためか、そんなシステムが好きな人は多い。
ただし、企業としては当然ターゲットが限定されるので、より多くの人を顧客として獲得したり、爆発的な売り上げを期待したりすると、クローズゆえの絞り込みが、どうしても邪魔をすることがある。
しかしながら、競合他社とターゲットを激しく奪い合う時には必要な手段であり、例えば、携帯電話のコンテンツサービスやネットサービスなどは、その典型かもしれない。携帯電話の場合は、既に市場が飽和状態にあり、際立った機能強化が出尽くしているために、差別化のためのクローズド戦略が体力の続く限り実施されるであろう。
ただ、こうしたクローズの方法をやり過ぎてしまうと、ターゲット側に「別に使わなくてもよい」「無くても困らない」という感情が出てくるのか、逆に冷ややかに避けられることも少なくない。そのためか、クローズドな展開を図ると、必ず限界値が見えてしまい、売上額も顧客数もそれ以上に伸びないことがあり、戦略変更が必須の状況となる。
例えば、大手SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)における個人のコンテンツ利用では、その著作者の人格権と利用権などの問題があり、外部へのアピールや二次利用には非常な困難が伴う。そうした繊細な問題とは別に、クローズというビジネスモデル自体の特質も認識しておかなくてはいけない。
それは、クローズの展開は内部からのプレッシャーが意外に大きいということである。SNSのように特有の内部コミュニケーションにおいては、圧力をさらに増幅しているようである。もっと身近なオープン&クローズを考えてみよう。
喫茶店や飲食店は本当にオープンになっているのであろうか。ある飲食店に入ると、近くに住んでいる常連客が多いのか、店主を交えて大きな声で会話していて、ふらっと入って気まずい思いをしたことはないだろうか。“常連客専用”かと思い、入ってしまったこと自体を悔やむかもしれない。
店の見せ方や在り方は店主の考え方次第なので、あまり他意はないのかもしれないが、一見の客としてはおそらくそんな印象を受けるであろう。以前、筆者もよく出かけていた常連客が多いお店があった。
とくに、夜はほとんど常連客ばかりだったが、その店が突然、閉店してしまった。その後、店主と話す機会があったのだが、店主いわく、別に常連客を優遇し好んでいたわけではなく、逆に新規の客に来て欲しいと思っていたようだ。常連客の多い店は、常連客の来店頻度や単価が落ちると、このような結果になる。
クローズが悪い形で出てしまい、マーケティング上マイナスに影響したようだ。オープンとクローズは、状況によって使い方次第と言えそうだ。
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[オープンとクローズ] 2008年4月22日
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