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習慣のスイッチング

マーケティング最前線:第61回 2008年1月20日

月刊コンピューターテレフォニー2008年2月号連載より

習慣のスイッチング

筆者の日常のマーケティング・コンサルティング業務のなかで、一番多いのが「新規獲得」に関する案件・プロジェクトである。この業務はBtoBであれBtoCであれ、他社との競争があるからこそマーケティングが必須となる。

このため、当方が依頼をいただいているコンサルティング業務も、各種マーケティングの戦略と戦術の推進が中心になっている。そして、具体的な手段として、Webマーケティング、コールセンター、あるいはCRMなどの手法を実践することになる。

そのなかで、難易度が最も高い業務はA社の商品をB社の商品に切り替えさせるための広告やプロモーションである。いわゆる、「ブランドスイッチ」と呼ばれるこのような業務は、マーケティング現場ではよくある内容である。

その場合、A社にせよB社にせよ、ターゲットに商品を購入する“習慣”があるために、「一度切り替えてみようか」とスイッチングさせるような戦略や戦術を実施する。新規獲得においても、すでに他社商品を購入しているという事実が大きなポイントであるからだ。一方、新規獲得する上で難しいのが、今まで使ったことがないモノや、日常においては全く初めて体験するような商品を購入してもらうことである。

さらに、それらを継続して購入させるような“習慣”のスイッチングは、ブランドスイッチよりもはるかに難しく、ハードルは高い。人間の日常生活における個々のアクションは、この習慣の連続であるといっても決して過言ではない。アルコール類やコーヒー、あるいはお茶などの飲料系商品や嗜好品はその最たるもので、何かの原因がない限りは継続的に購入する。例えば、缶コーヒーが好きな人は習慣的に購入するが、缶では……という人は見向きすらしない。

ただし、インターネットや携帯電話、各種デジタル商品のように、今までよりもはるかに便利で使い勝手が良い革新的な商品は、一気に習慣そのものを変えてしまう。逆に言えば、習慣を変えてまで使いたいと思う商品は、以前の習慣に後戻りできないくらいの商品になる。だが、そんな商品はあまり多くはない。ダイエット系の商品のように、今までさまざまな新商品が登場し、一度火がつくと瞬く間に広がるが、一旦ブームが去ると即記憶から消えてしまうくらいに一過性のものが多い。

購入した人は一旦習慣づけようと思うものの、その継続期間は短く、再び従前の習慣に戻ってしまうことが多いようだ。つまり、習慣をスイッチさせることは最も難しいものの、過去に戻れないほどのインパクトがあるマーケティング力を発揮できれば、それは最強のマーケティングであろうと思われる。

私事であるが、しみついてしまった“習慣”がある。わが家に23年間もいた猫が他界し既に1年以上経過しているが、その猫のために毎日していたことが未だに習慣として、ついやってしまう。その猫は、なぜか風呂場の蓋の上で水を飲む習慣があったので、毎夜風呂を出る際には、新鮮な水を入れ替えていた。

また、風呂場の蓋にスキマがあると、夜中に風呂で溺れやしないかと不安になり、蓋がきちんと閉まっているかを確認していた。習慣のスイッチングは実に難しいことであると、わが日常生活においても感じている次第である。

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[習慣のスイッチング] 2008年1月20日

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