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様々な企業様のコンサルティングをさせて頂いていますが、当社コンサルティング業務はビジネスの中枢に関わるものが多く、かつクライアント企業様への守秘義務から中々事例としてご紹介出来ません。今回、月刊コンピュータテレフォニーで取材され、掲載を許可して頂いたこともあって、当社市場通信のコンサルティング:BtoBアウトバウンドコール事例として公開する許可を頂きました。
<中央三井ファイナンスサービス>
中小企業向けローン商品を電話で売る!
アウトバウンド・センター「3つのPDCA」
中央三井ファイナンスサービスは、中小企業の経営者に向けたローン商品をアウトバウンドで提供している。しかし、電話による融資案内を顧客に受け入れてもらうのは困難を極める。同社では、架電リストの精度向上、営業ツール(トークスクリプト)の常時改変、コミュニケータのスキル向上を目的に業務改善のPDCAサイクルを構築、成約数の向上を図っている。
政府が発表した2006年10月度の月例経済報告によれば、景気の拡大は戦後最長の“いざなぎ景気”と並ぶ勢いだという。個人消費の伸びは鈍化しつつも、企業収益は改善を見せており、設備投資などが増加。今後も好景気が継続すると予測している。
しかし、大企業が増収に沸く一方で、中小企業や個人事業主を取り巻く環境はまだまだ厳しい。安定した資金調達が保証されないことも多く、事業主は毎月の資金繰りに奔走するケースも少なくない。こうした経営者に対して、資金調達の新しいスタイルを提案しているのが中央三井ファイナンスサービスだ。
同社は、中央三井信託銀行とNISグループの合弁会社で、業歴3年以上の中堅・中小企業法人や個人事業主を対象に、主力商品「ビジネスカードローン」を提供している。利用限度額最大1000万円(個人事業主は500万円)を無担保・代表者保証で融資し、入会金や年会費は不要。融資利率は年率15%~19.8%と、銀行系とノンバンク系の間で抑えている。
「一般的に中小企業は、日常的に急な出金や入金遅延が発生しやすく、資金繰りが安定していません。このためビジネスチャンスを逃すことも多いのです。当社のカードローンは、限度額までならいつでも自由に入出金可能な極度契約で、柔軟に資金調達が行えます。銀行ですぐに融資が受けられない場合でも、ノンバンクより安い金利で利用いただけるシステムです」と、カードローン営業部の梶野雅章部長は商品概要を説明する。
センターミッションを明確化し
コミュニケータの“引け目”払拭
同社の特徴は、アウトバウンドを使った完全非対面の営業で顧客を獲得している点だ。とくに架電/案内と申し込みがコンタクトセンターの重要な役割になっており、リストに従って電話をかけ、商品説明を行いながら申込書送付の承諾を得る。申込書はFAXで送信し、再度の電話で返信を促して回収するまでがコミュニケータの仕事だ。一次審査から契約締結まではバックオフィスの業務となっている。顧客側の書類手配にもよるが、早くて1週間程度で完了する。以降の借入の申し込みは、テレフォンキャッシングシステムを採用。IVRのプッシュ操作で必要金額を入力すれば、翌日には指定口座に入金される。
コンタクトセンターの体制は、コミュニケータ35名とスーパーバイザー(SV)4名。社員SV1名を除いて、全員を派遣社員で構成している。SV以外の管理者層は正社員だ。営業時間は平日午前9時から午後5時まで。12時から1時まで昼休みとなっている。
「以前は社員である営業マンが電話していましたが、効率化とコスト削減を目的に2006年4月よりコンタクトセンターを稼働させました。しかし、導入当初は運営ノウハウがなく、マネジメントは手探り状態で、コミュニケータの離職も多いという状況でした」と、梶野部長は振り返る。
そこで、マーケティングやCRM分野で定評のある市場通信(東京都品川区、波多野精紀社長)のコンサルティングを受け、体制強化を図った。この際、最初に行ったのはミッションの明確化だった。
「ローン商品という特性上、とくに銀行融資より金利が高いため、コミュニケータはどうしても引け目を感じてしまいます。電話をしても、いわゆる“ガチャ切り”が多く、それが心理的な負担となって離職につながっていたと思います。
そこで具体的なミッションとして、“商品の特徴をきちんと説明し、上手な活用法を案内することに努める”“一件一件の電話に丁寧に応対し、サービスの十分な理解と納得をいただくことを目指す”と定めました。新人研修の最初は、このミッションをきちんと説明し、中小企業の経営に貢献するサービスであることを伝えています」と、審査企画部の髙橋宣久企画担当部長は説明する。
商品の弱点も隠さず伝える
不安がらせないスクリプト設計
実際の運営現場では、コンタクトセンターが成長する要素として、1)リスト戦略、2)営業ツール、3)TC(同社のコミュニケータの呼称)スキル――の3つを挙げ、それぞれの実現に向けてPDCAサイクルを立てている。
リスト戦略とは、架電先リストの作成だ。アウトバウンド業務では、架電対象を目的に応じて絞り込むのが鉄則。リスト戦略は、会話したい人を確実に捉えるための準備段階といえる。同社の場合、それが中小企業の社長となる。
しかし、元のデータが電話帳や商工会員、帝国データバンクなどの企業リストからなっており、最初からパーミッションが取れているわけではないため、ターゲッティングは極めて困難だ。
「業種・業態や企業規模、過去の架電実績などを基にデータマイニングを行いリストを作成します。さらに、これに基づいて架電し、結果分析を行って次のリスト作成に活かします。例えば、昼間、社長が不在がちな業種に電話をしても会話できる可能性は低いので、架電対象から外します。どの業種でどんな時間帯に電話をすれば社長と話せるかを重視しています」(髙橋担当部長)
しかし、仮に経営者と会話できても、相手の反応によっては深追いをせず、期間を開けて再度電話するようにしている。「中小企業の場合は、今は融資が必要なくても、3カ月後に入用になるというケースがあります。現段階で先方が難色を示しているのであれば、次の機会にお申し込みいただけるようお願いして電話を切ります。執拗な営業は当社の信用失墜につながり、そのリストは2度と使えなくなります」と、梶野部長は語る。
また、確度の高いリストがあっても、セールストークに不備があれば成約率は上がらない。このため、営業ツール(トークスクリプト、切り返しトーク、FAQ)は、細心の注意を払って作成している。
コンサルティングを担当した市場通信の石橋由佳マーケティングコンサルタントは、「アウトバウンド業務では、スクリプトの質が成約の6割を左右すると言われます。限られた時間の中で何を伝えれば相手の心を捉えられるか、可能な限り具体的に検討する必要があります。商品に複数の特徴・メリットがあっても、すべてを伝えるのではなく、顧客の求める事柄を意識しながら絞り込むべきです」とアドバイスする。
そこで、急な資金調達に困惑することの多い中小企業の経営者に向けて、「翌営業日振込み」と「出し入れ自由」を訴求ポイントにトークを行っている。その一方で、デメリットもきちんと伝えるようにしている。
「銀行より高い金利は、当社商品のウイークポイントと言ってもよい。以前は、この説明が後回しで利点を前面に出していたため、順調に会話していても金利を話したとたんに電話を切られるというケースが多々ありました。現在は、利息を最初に伝え、100万円借りれば月々の返済額はいくらになるかを説明し、納得を得られるようにしています」(梶野部長)
営業ツールの改良は、毎週行っている。コミュニケータには日報の提出を義務付けており、会話の中で気付いた顧客の反応などをホットボイスとして記入してもらう。また、SVは日々のモニタリングで気付いたことを挙げる。これを元に、ツールが常に新鮮なものとなるように心掛けている。
モニタリング評価は毎月2本
月次サイクルでスキルアップ支援
リストやツールを使いこなすTCスキルの強化は、同センターの最大の課題だ。評価基準は、プロフィット、パフォーマンス、クオリティ、貢献度の4つ。それぞれにウエイトを付け、毎月評価を行っている。また、ウエイトのない項目として勤怠があり、欠勤・遅刻があればマイナスして計算する。
評価基準の中で、とくに大きなウエイトを占めるのはプロフィット(成約数)だ。同社は本来、ビジネススキームの「契約締結」を持って成約となるが、コミュニケータは、ファーストコールで顧客の了承を得て申込書をFAXし、セカンドコールで返信を促す、という2段階のアプローチを行っている。そこでコンタクトセンターでは、申込書の返信を受けた時点で成約と見なしている。
「同意を得て申込書をFAXしても、必ずしも返信があるとは限りません。そこでタイミングを見ながら電話で返信を促します。ただし、しつこく電話するとクレームになり、リストの再利用もできなくなります」と、髙橋担当部長は見極めの難しさを指摘する。現在は、FAXを送信した直後と少し時間を置いてもう1度、2回で返信まで辿りつくようルールを検討している。
従って、成約を焦るあまり、次々と電話をかけるということを抑制している。パフォーマンス面では、1人につき1日150件、合計で7300秒の会話を目標に置いている。
一方、クオリティの基準はモニタリングによる応対品質評価だ。毎月、1人につきファーストコール1本、セカンドコール1本の計2本を聞いて評価する。コミュニケータには、モニタリング項目の1つひとつについて、なぜこの項目を設定しているかを説明している。「良い応対・悪い応対のコールを聞かせ、自分自身の中で良い・悪いを想定し理解してもらいます。項目を用意するだけでは、評価に対する納得を得られません」(市場通信の石橋氏)。
最後の貢献度は、日誌に記入したホットボイスの採用など。例えば、コミュニケータ自身が、スクリプト作成に貢献していくことで、全員が一緒になって業務を推進していくという一体感を醸成することが狙いだ。
以上の評価は、毎月フィードバックし、コーチングしていく。そして次の目標を設定するという流れだ。
ストレス緩和のインセンティブ制度
モチベーション施策を駆使
先述したように、ファーストコールでは商品特性上、どうしても“ガチャ切り”が多くなる。このため、コンタクトセンターではモチベーション管理が重要な施策となる。そこで、ホットボイスが多く採用された人にはインセンティブを提供している。また、成約数やモニタリング評価が高かった人には「グッドトーク賞」を出している。管理職がケーキを差し入れて、お茶会を開催することもある。
「辛い仕事だとは思いますが、朝起きて“今日もセンターに行こう”と思って貰えるような雰囲気作りを心掛けています。落ち込んでいるコミュニケータはSVがフォローします。また、SVも悩むことがありますので、我々社員が支援します。目標に向かって全員が努力し、3つのPDCAサイクルで進化する喜びを感じて貰えればESに結びつきます。目標に対して厳しく、自分に対して甘えず、それでも楽しいセンターを運営していく考えです」と、梶野部長は強調する。
マネジメントの改善で、成約数の目標達成率はセンター全体で現在8割強。徐々に伸びているため、早い段階で100%まで引き上げるのが今後の課題だ。新しいビジネスモデルのため障壁もあるが、アウトバウンドのみのBtoBモデルの可能性として、今後の動向が注目される。
<企業プロフィール>
社名:中央三井ファイナンスサービス
本社所在地:東京都中央区日本橋室町3-2-8三信室町ビル9階
設立:2004年11月9日
資本金:5億円
代表者:国広伸夫社長
<企業概要>
中央三井信託銀行とNISグループの合弁会社で、中堅・中小企業、個人事業主を対象としたビジネスカードローン事業を展開する。銀行系とノンバンク系の利点を生かした資金調達の新スタイルを提案。店舗を持たず、アウトバウンドによる完全非対面の営業が特徴。
<センター概要>
設立当初は社員によるテレセールスを行っていたが、2006年4月より派遣社員を採用して本格的なコールセンターを開設。35席で月間約10万本のセールスコールを行う。BtoBモデルのため、営業時間は平日に限られている。
出典:株式会社リックテレコム 月刊コンピュータテレフォニー2007年1月号より
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[市場通信:最新コールセンター事例] 2006年12月20日
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