2005年10月号の日経情報ストラテジーの特集1は『岐路に立つCRM 逆境に打ち勝つ手があった 』 というテーマである。個人情報保護法との対応で個人情報分析・活用型のCRMはどのようになっているのか。それが今回の特集テーマのようだ。
JTBの事例では過去に旅行を申し込んだ顧客に対しては購買履歴の分析を行い適応するDMや店頭でのお勧めをしていると書かれている。いわゆるパーミッションを得た既存顧客への健全なアプローチである。また、取引のない顧客とのコミュニケーションはロイヤルティが低いので個人情報は必要がないという考え。
もともとCRMは企業における既存客に対して、いかにコミュニケーションを図って、長期的な囲い込みをしていくかが大きなコンセプトであった。景気低迷するわが国においては、どうしても新規顧客の獲得を図らなければ、既存顧客の離脱分が全体の売上の目減り分を挽回できない事情もあり、キャンペーンやプロモーションで集めたリストを顧客化するために無理で強引なプッシュ手法(DM、電話、Eメール等)に依存しすぎた感は否めない。
要は潜在客から見込客、見込客から新規顧客化へのアプローチと手段の問題である。そこに個人情報保護法のメスが入れられたのである。お客様になってもらうためのコミュニケーションに詳細な個人情報が必要なのか、ということである。同誌では『2段変速』と書かれており、JTBの個人情報を集めずに新規の顧客開拓をする手法を解説している。
JTBが開発した「お届けくん」旅行商品等の顧客が求める情報を配信するために、従来の名前や住所などの個人情報がなく、JTBのサイトから専用ソフトをダウンロードして使ってもらうものである。RSSリーダーとIDをうまく活用している。現在利用者は2005年3月で3万人、2006年度内で200万人まで拡大する計画らしい。
JTBの顧客は、2回以上の申し込みが25%、顧客の75%が1回の利用で離脱しているが、3回目のリピータは一回目の単価の2倍になると述べられている。年間120億円というパンフレット費用などを考えると、リピート促進に力は入るのも当然であろう。なお、このJTBが開発した「お届けくん」はロッテが懸賞キャンペーンで利用するようで、JTBはシステムの外販もしている。
今まで、詳細で最新の個人情報が獲得できる業界や企業が、新規顧客獲得やCRMなどで成功しているかと言えば、そうでもない。詳細な顧客情報に頼らないCRMや新規顧客獲得手法は実に興味深く、新たな時代に入ったという実感と、匿名性が高く利用者の情報が守れる『ネットのプル手法』の開拓は今後も進むと思われる。
なお、その他事例として、ロート製薬、日産自動車、エーエム・ピーエム・ジャパン、プロントコーポレーションなどの事例も書かれており、中々おもしろい内容である。
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[個人情報を使わないCRM] 2005年8月27日
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