マーケティング最前線:第22回
2004年10月20日
マーケティングやコミュニケーションの各ツールが進化し、また個人情報保護やセキュリティ問題も加わり、CRMにおける目標に向けた整備内容や運用方法も大きく様変わりしている。トップダウンタイプの上位計画やマネジメント課題から重い基本コンセプトを築いて、下位計画や実施計画へとブレイクダウンする従来の方法論はもう流行らない。
それは、上位コンセプトよりも実施レベルの顧客接点(コンタクトポイント)における整備・運用の方が大切であり、この見直しや現場でのスキルアップこそが実績に反映するからだ。事実、CRMプロジェクトの実施においては、前述の①トップダウンタイプとは別に、②プレCRMタイプと、③ボトムアップとしての積み上げタイプを実践し、成果を得ている。
この②と③の方式は、短期的な費用対効果が見込める点と、現行のマーケティング業務と共存できる利点がある。もちろん、上位計画や基本コンセプトも経営レベルからチェックするものの、既に蓄積されたCRMの経験値と知見が、短期間でのコンセプトづくりを可能にする。
②のプレCRMタイプは、既存顧客や見込客リストを利用し、Webサイトへの誘導や資料・サンプル請求など何らかの刺激を与え、レスポンスを獲得するためのアクションやプロモーションを展開する方法である。これによって、既存リストの不備や顧客別のアクセス状況、顧客対応における自社のコンタクトセンターなどの水準がチェックできる。
さらに、HTMLメールやWebサイトへのクリック状況など、ログ解析によって残された軌跡は十分なデータとなり、それを反映することで、またはそれを繰り返すことでカスタマーインサイトはかなり明確になる。これにより、各ポイントにおけるコンバージョンレートもしっかり把握でき、本格的なCRM構築の基盤ができ上がることになる。
③のボトムアップCRMタイプは、商品アイテム数が多い場合や、商品別、エリア別に事業部があるような中堅企業から大手企業において、大きな力を発揮する。このタイプが①のトップダウンタイプと大きく異なるのは、全社的、全事業部、全商品、とすべてを網羅するのではなく、最もコアとなる部分や比較的改善・見直しが可能な顧客対応面から、少しずつ見直し・整備するところにある。
加えて、この③と②のプレCRMタイプとの差異は、②がプロモーションを実施し、顧客対応プロセスをサイクルとして何回も廻すことで学習効果を高め、それぞれの改善点をチェックすることを目的とするのに対し、③においては、顧客へ告知するメディア、Webサイト、販促のためのEメール、電話での問い合わせなどを順次点検し、実施レベルでの改善を着実にone by oneで一つずつ行うことが先決となることである。
例えば、商品アイテム別にWebサイト上のコンテンツの見直しやSEO対策、ネット広告などによるアクセス数増加などを改善・実施すれば、問い合わせ、引き合い、売り上げなどの結果が数字で出てくる。このため、プロセスに合わせた整備目標と、実績に連動した費用対効果をチェックしながら進めることが可能になる。
こうした積み上げが既存顧客へのクロスセリングやアップセリングにつながり、本来の囲い込み戦略を可能とするのである。まさしく、『CRMで顧客を囲い込む』ということは、『顧客を囲い込むための弱い各部分を着実に点検・整備することにある』と言えるのではないだろうか。
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[プレCRMとボトムアップCRMの実践] 2004年10月21日
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