マーケティング最前線2004年9月20日
月刊コンピューターテレフォニー10月号 連載より
日本語の習慣と慣習、この前後入れ替えた言葉の意味は、微妙な違いがあるようだが、『ならわし』『しきたり』という意味からすると、日常ほぼ同様の使い方がされているようだ。企業のビジネスを展開する上での業務構造や業務フローなどにおいては、この『ならわし』、『しきたり』がかなり多く存在する。もちろん、それは長年培われたノウハウやスキルでもあるかもしれない。時代の変化や顧客の要望があっても、あるいは実績が下降しても、今までの顧客対応や業務の進め方などを変えるわけにはいかない。
日常業務の一部が変更されることで、効率化するのなら歓迎するものの、新しいシステムが導入されて、既に慣れている業務の進め方が一変してしまうことへの反発は強い。一般的な企業の変革時には必ず遭遇することである。突然、経営トップ層が決めたコンサルティング会社のコンサルタントやシステムインテグレータのスペシャリストが来ては、ソリューションという名の理想論をかざしては日常の業務の弱点を攻める。
とは言え、業務構造や日常業務の運用については、別に担当者自身が決めたわけではなく、ただ今までのやり方を引き継ぎ踏襲しているだけである。業務プロセスが悪いと言われれば、そうかもしれない。毎日の通常業務に追われ、今後の方向性や改善点などを考えたりする時間さえない担当者にしてみれば、弱点を突かれて快いはずはないのである。
『ソリューション』という名のシステム導入やマーケティング業務改善は、すべてを解決するわけではなく、一部の業務の省力化、合理化、効率化には対応するものの、どこかでその導入における余波がやってくる。それは現場の担当者に降りかかることが少なくない。
企業全体として見れば効果が見えてくるが、現場担当者などからすると『新たな業務』への対応はあまり望ましくないと考えてしまうのは、この辺の理由からであろう。
ITソリューションやマーケティング・ソリューションの本質は、この『ならわし』『しきたり』との闘いなのである。経営トップ層がコンサルティング会社に依頼したくなる背景は、現場とそれをつなぐ人的資源の不足や縦系列のコミュニケーションがとれていないことが往々にしてある。それも本業とかけはなれた分野(IT、Web、マーケティングなど)での共通の言語を介した対話ができないことも大きな理由となる。普段から、組織構造的な本来のコミュニケーションも欠けているのである。
一方、コンサルティング側からすると、そのような背景が既にあることを頭に入れておかなくてはならない。加えて、それがどのような状況であるのか、その詳細の把握と縦組織でのコミュニケーションをつなぐことから業務は始まることも、コンサルタントは認識しなくてはならない。ただし、ここで勘違いをしてはならないことは、大幅な組織改革まで足を踏み込まないこと、変革請負人や改革代理人にならないことである。
コンサルタントは、たぶん『伝道師』か『翻訳家』的な役割が望ましく、主体はクライアント企業にあることを忘れてはならない。また、システムや理論も大切だが、運用改善とそれを進めるためのコミュニケーションが大切であることも、付け加えておきたい。
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[ならわしやしきたりとの闘い] 2004年9月21日
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