2003年10月30日「日経NET BizPlus」連載より
<注目したい!レコメンドの構造を>
インターネットのビジネス活用でその本質は何か?と聞かれたら、最近は『Recommendation:推薦・推奨』であると答えている。とくに高額系商品を購入する時は、購入する決め手の最後の最後は自分自身が決めるものの、自分の身近な人たちからのお勧めや同意を得ることが多いからだ。
『昔から使用している、あの人が言うからまちがいない!』、『両親が賛成してくれた!』、『既に購入した親しい友人が良いと言った!』などのレコメンドが最後のクロージングの決め手となることも少なくない。また、購入したものを確かめる行為も注目したい。購入者は自ら選択し、購入したものを自ら納得したくなる。高額なモノほど、本当に購入したことが正しい選択だったかどうか、あるいは、その商品の価格と価値が気になり、お買い得だったかどうか再度確認したくなる。その際、インターネットの役割は非常に大きいのである。
<購入後は逆にレコメンドしたくなる!>
購入後に購入しなかった他店や売り場に寄っては、自分が購入した同一商品や類似商品を確認したくなる。さらにWEBサイトで調べたくなる行為は自分自身が購入したモノを『やっぱり買ってよかった!』と納得したいからである。
自分が納得した後は、今度は身近な人の同意を得たくなる。良い買い物だったことを認められたいし、ほめられたいとする行動は時折自慢するアクションと似ているが、実は『良いものを買ったね!』という同意を得てから、自慢する自信が出てくるという説明が正解かもしれない。その自信が今度は逆にレコメンドする立場になりうる。こうした購入前・購入後のホットなアクションをマーケティングに組み込むことが、実際なされているようで実はあまりされていないと思われる。
<存在する!レコメンド・コミュニティ>
こうした一連の購入を支援するWEBサイトやEメールは、非常に簡単で便利である。価格については最も安いショップを探し出せるし、その評判は各種の掲示板でニュートラルな書き込みを確かめることができる。すでにPCやデジカメ、携帯電話など購入前に多くの人が参考データとして活用していることであろう。
さらにレコメンドサイトから相手(身近な友人知人)のEメールアドレスをインプットして送信するか、相手に見せたいWEBサイトのURLを入れたEメールを送れば良いのである。もちろん、携帯サイトや携帯メールも重要なツールと成り得る。(参考:「WATCH(3)アンケート調査の謎!友人知人の謎」
ここで重要なのは購入者の周りには『レコメンド・コミュニティ』が存在するということだ。両親や家族・親戚、友人・知人、職場の同僚など近隣単位での地域地縁的コミュニティや、ネットの活用による地域を越えたコミュニティ(掲示板などのBCCも含む)は最も購買につながり易い潜在客や見込み客コミュニティなのである。
購入者自体のリピートや囲い込みは当然であるが、その購入者周辺の『コミュニティごとの囲い込み』も可能な時代になってきたと思われる。不動産や自動車など個人消費としての高額系商品については、このレコメンド・コミュニティは無視できないのではないだろうか。市場から全くの新規の潜在客や見込客を掘り起こすよりも、購入者コミュニティから的確な紹介を受けた方がはるかに効果的であるからだ。
<今までの口コミ販売や単なるMGMキャンペーンではない!>
セス・ゴーディンは彼の著書『Permission Marketing』(邦題『パーミションマーケティング』翔泳社 阪本 啓一 翻訳1999/11/15)でインターネットにおけるマーケティングのあり方について述べ、『Unleashing the Ideavirus』(邦題『バイラルマーケティング』翔泳社 大橋 禅太郎 翻訳2001/02/28)においてはウイルスのように伝染・伝播させ、商品やサービスをいち早く広めるWEBサイトやEメールなどのマーケティング手法について述べている。
このような一連の内容は今までの口コミ販売やMGM(Member-Get-A-Member Campaign)などの紹介販売とどこが異なっているのだろうか。今までのMGMは企業論理の考え方であり、前述の顧客のアクションを満足させるところまでには至っていない。加えて、口コミや紹介販売は単なるキャンペーンや『カンフル効果』として多く活用され、レコメンドを新規獲得の頭に据えるバイラルマーケティングや『Recommendation Marketing』としての顧客側に立った考え方とは全く異なるものであると思われる。
<レコメンドはCS(顧客満足)を求め、その結果としてブランドを築く!>
以上のように価格、品質、CSなどが比べやすい環境がインターネットにあり、加えてレコメンドが容易にできるWEBサイトやEメールの特徴を使わない手はないと思うのである。購入したオピニオンリーダーからのレコメンドは様々な人々に波及し、とくに前述の購入者周辺のレコメンド・コミュニティにおいてはイノベーターが市場の初期形成をする場でもあり、レコメンドの機会を増大させ、何らかの方法でもっと購入を後押しすれば、実績に大きく影響すると思われる。
レコメンドが容易なコミュニケーションの環境づくり、レコメンドしてもらうためのWEBサイトの構築整備、レコメンドを重視した継続的なWEBキャンペーンなどが大きな武器になると考えられる。その一方で企業が購入者からのレコメンドを得られるようにするには、その企業のCSも大いに関係し、カスタマーサービスの見直しやアフターサービスが重要視され、レコメンドという信頼や信用の証しは新たなブランドを築いてくれるであろう。
リアルマーケットで長年の間、時間とお金をつぎ込んで築いてきた信頼、CS、ブランドを、短期間にかつ一挙に駆け上がるように築く可能性をインターネットは持ち得ているのだ。セス・ゴーディンが説いた『バイラルマーケティング』がやっと実践できる時が来たと思われる。その可能性を今こそ確かめて頂きたいのである。
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[顧客の囲い込みはレコメンド・コミュニティから] 2003年10月30日
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