HOME » CRM » CRMブログ » 死んではいない、消えてもいない!?CRMの考え方

死んではいない、消えてもいない!?CRMの考え方

「CRM講座 - 実践の現場から -」 2003年5月15日「日経NET BizPlus」 連載より

CRM.jpg1)CRMプレイヤーの役割は適切だったか?
既に去年からCRMは死語と言われているが果たして本当にそうなのだろうか。CRMの言葉が来たのも米国なら、早い死を伝えたのも米国だ。CRMはとても広い概念で、当初各プレイヤーはこのCRMに魅力を感じて群がった。とくに上流部分ではビジネスコンサルタントを始め、コンピューターメーカー、システム・インテグレーター、広告代理店、WEB制作会社、コールセンターなどのアウトソーサーなどと幅広い領域のプレイヤーが集まっていた。事実、クライアントのプロジェクト獲得のためのコンペティションの時はいつも同業者ばかりだったが、CRMプロジェクトの獲得時は前述の異業種で競うのもの特徴的であった。


CRMのMはマネジメント領域であり、どうしても上流部分の色合いが強く、戦略系及び会計系コンサルティングファームが先んじてスタートしていた。しかし、上流のマジメント領域のコンセプトプランから、下流の実施レベルであるマーケティング現場の領域まで、全てを網羅するプレイヤーが少ないのも大きな問題であった。

CRM現場では実践的なマーケティング経験とITをハンドリングできる人材が必要であったが、それらスペシャリストは育成するしかなかったのである。そうした人的資源の問題がCRMのシステムを導入した企業に影響を及ぼし、運用までにかなりの投資が強いられたこともCRMの不信へとつながる原因になったに違いない。そうしたスペシャリスト不足が米国でのCRM悲話を作り出したと思われる。とくに米国の広告代理店やダイレクトマーケティング会社はその範疇外で、早くから白旗を揚げてCRMには同調していなかった。

また、クライアントにとってもCRMは跛行的で、答えが見えない無駄な投資に見えたのではないだろうか。結局、ITバブルの崩壊が米国においてCRMを葬る絶好の機会となったようだ。このような米国の情報を鵜呑みにし、わが国でもCRMは死語と吹聴される原因であったと予測される。

2)相容れなかったマネジメントとマーケティング
基本コンセプトからプランニングレベルへブレイクダウンすると、そこにはダイレクトマーケティングの世界が広がっていた。それは否めない事実だ。従ってCRMはダイレクトマーケティングと同じだとする諸兄もいたが、ブレイクダウンした形では納得できるものの、CRMのMであるマネジメント領域との融合がなければ、プロジェクトがうまく進まないことも現場では実証された。上流から受けたコンセプトをマーケティング現場業務へと落としこまれていくプロセスを見ればおわかりになるであろう。

 このように書くとうまく進んでいるように思われるが、実際はプランのやり直しに近いものがあり、無駄な時間とお金が費やされた。実施のためのマスタープランを作成する際、クライアントの担当者からビジネスコンサルタントが作成した電話帳のように分厚い報告書を手渡されたこともあるが、実際に読むことはなかった。報告書に書かれている基本方針には方向性と可能性が"あるべき論"で示されていた。

それらの"あるべき論"はプロセスやターゲットの絞込み、実施への細かい仕様を組み立てる実施段階では不要であった。その幅広い内容はどのようにも解釈できたからだ。事実一番重要なデータベースについては、どのセクションにどのようなデータが格納されているのか、どのように運用されているのかなど前述の報告書には記載されてはおらず、実施レベルのプランナーはそのデータベースの『在り処』を突きとめるのに多大な時間がかかった。

企業規模が大きければ大きいほどに難航し、いわば金脈を探し出すようなものであった。セクションが異なれば、それは別会社のように同じ組織でありながら誰も社内のデータベースを掌握しておらず、マネジメント領域とマーケティング領域は最後まで相容れなかったのである。

3)実施レベルでのCRMは今まさに始まっている!
米国の現象や状況を見て、そのまま日本でも同様になるという既成概念は今でも色濃く残っている。近年そうでもないと言える人はかなりの事情通であろう。とくにコンピュータやデジタル系についての発想面や技術面、ITにおける応用技術や運用面では日本独自の展開が目立ってきている。

実はマーケティングの世界やITマーケティングについても同じことが言える。米国で失敗したから日本もダメとする考え方の人もいるが、日本の携帯電話やi-modeなどのモバイルマーケティングや今後のIP電話、無線LANなど、国状によって変化している状況を読み取ってないだけである。

米国からやってきたCRMは、いざ日本で実践してみると前述のようにマネジメントとマーケティングとの融合ができなかった。加えて、ITバブル崩壊後のWEBの足踏みはタッチポイントの選択に大きな影響を与えた。しかしながら、コールセンターやコンタクトセンターが顧客接点において予想外の大きな働きを見せているのだ。

CRM導入における上流部分での失敗は、今やCRMの実施レベルでしっかり払拭できていると思われる。新聞ではCRMを括弧書きで顧客情報管理と注釈をつけられているのも非常に興味深い。それはとてもわかりやすく、実施レベルを指しているからだ。現在も脈々とCRMの考え方はマーケティング現場で生き続け、IT自体の低廉化や今年4月からのIT投資促進税制が拍車をかけており、お金をかけすぎない賢さと小回り経営ができる中小企業のCRMが今後どんどん伸びそうである。

 《お知らせ》 
 CRMをテーマとして、様々な話題を取り上げて連載をさせて頂いた。「CRM講座-実践の現場から-」は今回が最終回とさせて頂き、この度連載タイトルを変更致します。新タイトルは「IT&マーケティングEYE」とし、CRMという領域を越えて、より幅広い視点で企業や営業現場におけるマーケティング課題とそのソリューションについて論じていきたいと思っております。

 ITはもはや企業経営だけでなく、実践的なマーケティングや営業現場においても欠かすことはできません。しかし、現実的にはその高度な技術は現場に十分適用し、活かされているとは言えないのです。また、今日の困難な経済環境を企業が生き抜いていくためには、もはや"顧客資産"を創造するためのCRMという概念だけでは足りないこともわかって頂いたと思います。

KM(Knowledge Management)やブランドマネジメントなどの企業の"知識資産""ブランド資産"を最大化するための概念も統合的に必要となるのです。そうした観点から「マーケティング及び営業現場でのITの有効活用と最適化」、「より多角的かつ統合的なマーケティング視点の供給」を次回から新たな連載テーマとして執筆したいと考えております。

このエントリーを含むはてなブックマーク  はてなブックマークに追加この記事をクリップ!  livedoor クリップに追加Buzzurlにブックマーク Buzzurlに追加

[死んではいない、消えてもいない!?CRMの考え方] 2003年7月21日

お問い合わせ コールセンター情報サイト コールセンターモニタリングサービス「KiKiDen」
市場通信のミステリーコール「KURABE(くらべ)」
コールセンターアウトバウンド研修ソフト「ミラクルコール」 石橋式2Stepトレーニング

市場通信の書籍

書籍「Web2.0 実践ネットマーケティング」

書籍「図解 数字が上がるコールセンターのつくり方」

サービスメニュー

関連ブログ記事